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アマゾンが半減?=2030年は草原と砂漠へ=環境の政治的利用にブラジル抗議

ニッケイ新聞 2007年12月7日付け

 環境関係のNGO・WWFは五日、アマゾン熱帯雨林が、森林伐採と異常気象により二〇三〇年までに半減し、草原になるという調査結果を発表した。報告書は「アマゾンの病的サイクル」というタイトルで書かれ、科学的根拠に基づいた政治的白書である。
 バリ島の環境会議に出席したブラジル代表は、森林伐採の抑制を共同宣言に盛り込むことで同意したが、会議の趣旨がブラジルの考えていることと矛盾するので違和感を感じている。ブラジルは森林伐採抑制のための基金を設置し、二〇一二年までの目標達成を提案した。しかし、会議で無視されたようだ。
 アマゾン熱帯雨林は、人類共有資産かブラジルの固有資産かとする見解の相違があったらしい。ブラジルの固有資産とする見方に立てば、半分が草原になろうと余計なお世話だ。熱帯雨林が人類にとって不可欠の酸素資源なら、相当の代価を払って然るべきだ。
 ブラジル代表団は、提案書の中に「アマゾン熱帯雨林」の名を記載したことで国際会議に不慣れな幼稚な失敗と気づいた。マシャード首席代表は急遽、提案書の訂正を行わせた。バリ島会議はブラジルの意向を無視し、熱帯雨林を人類共有資産で国際管理下にあるような扱いをした。
 ブラジル代表は、アマゾン熱帯雨林が環境会議の議題ではないし、位置付けなど心外であると抗議した。環境会議の趣旨は、目標達成の方法とプロセス決定であった。それが、故意に歪曲し八百長会議となっていることを不快とした。
 ブラジルに不可解な圧力がかかっていることでアモリン外相は五日、会議をリードする先進国に二つの顔があることを指摘した。外交関係ではニコニコと好々爺のように、油断すれば背後から匕首でグサリとやりかねない本当の顔を見せる。バリ島会議もWTO(世界貿易機関)ラウンドも、先進国の基本姿勢は弱肉強食だと外相はいう。