ニッケイ新聞 2007年12月7日付け
「食わず嫌い」というのがあるが、高齢者のパソコン操作嫌いは「やらず嫌い」のほうにはいるかもしれない。日常生活にアクセントをつけるために大いにやるべし、断じて稽古に踏み切るべし、である▼こう書き出したのは、近く文協(ブラジル日本文化福祉協会)が、サンパウロ市のインターネット普及プロジェクト「テレセントロ」に参加し、無料コンピュータ教室を開こうとしているのを知ったからである。すでにサウーデ文協がテルセイラ・イダージに向けて実施済みで、たいへん好評とのことだった▼プロジェクトの対象は、文協の場合「地域の子供たち」や「水曜シネマにやって来る日系高齢者ら」とある。しかも「日本語での操作の指導」といっているではないか。高齢者たちが引っ込み思案をやっていると、教室は子供たちだけになってしまう可能性がある。文協としても、日系高齢者を対象とした企画はそんなに多いとはいえない。ここは、ぜひとも、日系高齢者が入りやすいように入り口を設けてほしい▼アポゼンタードのパソコン操作は、もとより若い人たちのように身についたものでないし、「仕事」でもない。しかし、仕事でないからこそ気楽に取り組めるともいえる。何時やめても文句をいわれないといった側面もあるが……▼パソコンのキーを叩いている内に、自身が持っている隠れている器用さ、物事に対する探究心の強さが自覚されるかもしれない。そうなると。時間の経つのも忘れてしまう。(神)