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ブラジル、デジタル放送を開始=コンバーターで躓く=独自方式導入が裏目に出る=価格引き下げの泥縄作戦へ

ニッケイ新聞 2007年12月4日付け

 ルーラ大統領は二日、デジタルTV放送局の落成式に臨んで、HDTV(多線数)技術の導入に十億レアルをつぎ込む意向であると三日付けエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。そのため経済産業開発銀行(BNDES)は、デジタルの一般普及化で足かせとなっているコンバーターの価格引き下げで融資の便宜を図ることを表明した。現在市販で最も安いのが、五百レアルしている。関係者は三カ月以内に、安価なコンバーターが出回ると見ている。
 長い間待たせた待望のデジタルTV放送が二日、遅ればせながら開始した。政府の思惑と大きく違い、コンバーターが五百から千レアルで販売されている。約束したデジタルTVメーカーへの税制恩典を政府が付与しなかったことへの、報復措置であるとコスタ通信相は見ている。
 ブラジルは、独自のデジタル・システムを導入したためコンバーターを輸入できない。政府発表では、デジタルは官公庁の手続きや病院や医院のアポが、自宅でできる相互発信機能もあるという話だった。しかし、市販のテレビ受信機で、それはできない。
 デジタル放送の開局は記念すべき日であるが、手抜かりが多い。放送番組は二〇一六年まで、既存チャンネルに便乗する。それでも多線数(七百二十から千八十)のうち四百八十のSD(スタンダード)方式で放送するから従来のアナログよりは鮮明だという。
 先進国でもデジタルを開局してから本格化するまで、全ての機器をデジタルへ交換するため十年を要した。デジタルは最初に飛びつくと、携帯電話と同じように高い買い物をするから少し待ったほうがよい。
 デジタル・チャンネルは、ルーラ大統領のゴーサインとともに放送開始することを既存チャンネルと打ち合わせていた。しかし、実際は試験中と称して数カ月前から放送をしていた。バンデイランテス局は、他社に先駆けデジタル放送を既に営業化し、一人舞台で儲けていた。
 アニェンビーのカーザ・バイアでは、大型デジタル・テレビ一〇三インチを据えてサッカー中継の一般公開をした。現場は、初めて白黒テレビが登場したような人だかりとなった。大統領による開局の辞とともにサッカーが始まったが、バンデイランテス局にしてみれば開局放送ではなかった。