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フリーメイソンも百周年支援=サンパウロ市=ブラジル人会員が仏教本を出版=松尾執行委員長らに記念プレート

ニッケイ新聞 2007年11月29日付け

 フリーメイソンのサンパウロ州本部、サンパウロ市サンジョアキン街にあるグランド・ロッジ(dependencias do Palacio Maconico)で九日、ブラジル人会員の歴史学者リカルド・マリオ・ゴンサルベスさんがプレ百周年事業として仏教倫理に関する本『A Etica Budista e o Espirito Economico do Japao』(Editora Elevacao)の出版記念会を催した。
 ゴンサルベスさんの中学時代の学友である中矢レナートさん(サクラ中矢アリメントス社長)が百周年の免税口座団体「日伯社会文化統合機関」の理事長であり、百周年を支援する意味で、松尾執行委員長らに記念プレートが送られた。
 ブラジル日本文化福祉協会と同じ通りにあり、サンジョアキン駅のすぐ近くに位置する。当日は、一九八〇年からずっとフリーメイソン会員の元文協会長の山内淳さんも出席した。
 百人以上が集まった講堂では、最初に日伯両国歌が斉唱された。壇上から日本移民史が簡潔に説明され、「オメナージェンを捧げたい」との主旨が説明された。百周年文化委員長の吉岡黎明さんは「ロージャ・マソニカ(フリーメイソン)からこのように顕彰してもらえるのは非常にありがたい」と感謝の挨拶をした。
 七二、七三年に名古屋大学に留学した経験のあるゴンサルベスさんは、サンパウロ市の東本願寺で僧侶も務める知日歴史学者だ。まず、「妻なくして一冊の本もなかった」と感謝を捧げ、日系コロニアの支援にも謝辞をのべた。
 「一九五八年の移民五十周年の時、まだ少年だった私は、リベルダーデで三笠宮殿下をお迎えしたことを思い出します。素晴らしい体験でした」。六七年、天皇陛下が皇太子時代にご来聖された折りにも、ブラジル側要人らと一緒に面談したという。「百周年にこのような本を出せてうれしい」。
 最後に、同本部の国際部で対日本渉外担当を務める中矢さんが閉会の辞をのべ、参加者は大サロンに移動し、なごやかにサイン会を行った。

日系人とフリーメイソン=山内淳元文協会長に聞く

 日本でフリーメイソンといえば「秘密結社」とか「陰謀論」といったイメージで語られることが多い。しかし、一九八〇年に入会した山内さんによれば、「最初は僕もその辺いろいろ興味があって入会したが、実際はユダヤ人とも関係がないことが分かった」という。
 「会員の審査に通れば誰でも入れる」というが、入会するには会員の紹介者が必要で、厳しい審査がある。宗教や政治に偏らず、博愛、正義、平等の精神を重んずる。ただし、フランス革命などと例を挙げ、「歴史の裏で活躍している組織なのは確か」とも。
 独特の入会儀礼があることで有名だが、「ああ、あれはビックリするよ」とあっさり。会費は月に百レアル弱で、毎週、フリーメイソンの哲学や歴史を勉強会がある。
 普段はほとんど日系社会と関係のない同団体。山内さん自身も「今回のような記念プレートを出すことは、八十周年、九十周年ではなかった。今回は特別ですよ」と驚いたように語っていた。