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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年11月28日付け

 短い間だったが、日本の街を歩いていて感じたのは、若い女性たちの強い自己主張であった。言葉ではない。服装である。簡単にいえば、流行を追うなかで、他とは違うものを選ぶ、着る、という意思が明瞭に読み取れた。他者が、似合わないとかいっても、取り合わず、わが道を行くと言わんばかりである。そのファッション?は「ズボンの上にスカートを着用」。もっさりとして、垢抜けていない。遊牧民の系統を引いているとか、埴輪(はにわ)スタイルとかいわれるらしい▼サンパウロの街中でも見ることができるが、数からいったら少ない。農村では、日焼け防止、虫除けのため、似たような服装をしているが、ファッションではなく、実用着であろう▼日本の都市で見るのは、スカートもズボンもかなり良質で、一人ひとり同じものがない、と見えることである。組み合わせで着用しないほうがむしろ格好いいじゃないか、と思える。だが、重ねている。本人は「絶対これを着る」と決め、選んでいるのに違いない。その横並びにならない依怙地なまでの気持が、好ましいエネルギーになれば面白い、と応援したくなる▼「一億一心」が為政者によって強制され、モンペ着用、竹ヤリを持たされた時代もあった。その末路は六十二年前体験済みである。たかが一時期の流行りで自己主張しただけで、おおげさな、とも思う。ただ、決して似合うとはいえない若い女性たちの服装を見ながら、そんなに悪い気はしなかった。(神)