ニッケイ新聞 2007年11月27日付け
二十四日のフォーリャ紙に二〇〇七年のエネルギー消費が昨年の十月との比較で五・二%伸びたとの報があった。十月までの一二カ月間の消費も昨年同期との比較で五%の伸びとあり、景気が好調であることの故であると。
その一方、同じフォーリャ紙に、短期の展望では二〇〇九年から二〇一〇年にかけてエネルギー問題は最大の山場を迎えるとも。「消費の伸びは経済成長の良い指標だが、電力部門に問題がある」と言うブラジル中央電力元総裁のルイス氏は、「需要に供給が追いつかないことが起こりうる」とする一方で、「二〇〇九年を乗り切れば、今のリズムで経済成長を続けることができる」ともいう。
この二〇〇九年から二〇一〇年にかけてのエネルギー危機は、ガス不足によるもので、現時点ではガスの需要は供給能力を超えているという。しかも、水力発電のための貯水池の水位が十分ではなかった場合の火力発電へのガスの供給は、消費者への供給より優先されるという方針は変更されていない。
今年の雨の状況については、降り始めがやや遅れたという状況のみならず、平年並みに降ったとしても火力発電へのガスの供給が始まる要因が一つ増えた。それは、貯水池の安全水位の引上げで、二十一日のエスタード紙には雨の量はまだ不十分で、南東伯、中西伯では、一月に火力発電所すべてが稼動再開の可能性があると報じている。この地域の貯水池は現在五〇%まで回復しているが、一月までに六一%まで回復していなければならないという。
経済の発展によるエネルギー需要の増大は世界的な傾向で、二十六日のエスタード紙にも、南米全域で電力不足が起こりうる事から、地域内ぐるみでのエネルギー開発の必要を説き、「南米は地球上で最大のエネルギー生産のための可能性を秘めた地域」であり、「南米地区統合を加速化させるエンジンはエネルギーである」とさえしている。
また、二十五日のフォーリャ紙にはウランの濃縮技術が向上して来ていることが、また、二十六日のフォーリャ紙には、原子力発電の拡大(二〇三〇年までに四基から八基建設の必要)が具体的に検討されており、来年から着工される原子力発電所(アングラ3)へのウラン燃料供給のためにセアラー州のウラン鉱開発が始められる見通しとの報もあった。
未だに課題の多いエネルギー問題だが、この問題さえなければ経済は順調に成長継続見込みという中、早期かつ効果的なエネルギー政策がとられることが求められている。今年最後の経済の山場、クリスマス商戦ももう始まっている。