ニッケイ新聞 2007年11月27日付け
経済産業開発省は二十四日、ブラジルの工業製品輸出が米市場からEU市場へ乗り換えたと発表した。EU向け輸出は一月から十月までに、合計で一三四億七八〇〇万ドルに達した。一方米国向けは、一三一億五七〇〇万ドルに留まったと、二十五日付けエスタード紙が報道した。
この差はこれから、さらに拡大するようだ。為替が一・七〇レアル代を往来する間、米市場は中国製品の天下であり、ブラジルは撤退を余儀なくされた。輸出業者もドル決済よりは、目減りの少ないユーロ決済を望んでいる。
米国や中国向け輸出をしていたメーカーは米国向けが二五%減、中国向けが三五%減った。それに代わったのが、フランスやイタリアなど将来性が見込める国々だ。続いて英国やロシア、イランが、有望視されている。対米輸出は衰えたといえども、まだ対亜輸出の倍額である。
トップ・モデルのジゼレ・ブンチェンは、決済はドル以外と提示し、できればユーロとした。これは、世界のファッション業者を驚かせた。世界一流のモデルであれば、要求は当然だという。ブラジルの輸出業界でも、メーカーはファッションと同じように行かないが、ジゼレの強気に倣おうとしている。
レアル通貨が非現実的な高騰に悩まされているのに、政府は全く手を貸さない。ルーラ政権は対米貿易に力を入れないし、通商使節を送ろうともしない。FRB(米連邦準備制度委員会)は、政策金利の引き下げを示唆し、風当りがさらに激しくなっている。