ニッケイ新聞 2007年11月23日付け
下院法制委員会(CCJ)は二十一日夜半、ベネズエラのメルコスル加盟を賛成四十四票、反対十七票で承認したとエスタード・デ・サンパウロ紙が報じた。同国の加盟に反対の意向を表明していたPMDB(ブラジル民主運動党)の動きが懸念されたが、最終的に同意し、本会議での表決も見通しが見えてきた。ベネズエラ国営放送は、CCJの審議を二十時間にわたって実況中継をした。同放送はベネズエラのメルコスル加盟是非が、これからの世界情勢に大きく影響するという。
ベネズエラのメルコスル加盟は、下院本会議から上院外交委員会、上院本会議と回される。次の山場は、フォルテス上議(DEM=民主党)が委員長を務める上院外交委員会といえそうだ。反対派と思われたPSOL(自由社会党)が与党へ合流し、流れを決めたのが殊勲賞といえそうだ。
ベネズエラは、ブラジルにとって三番目の輸出先国だとアモリン外相が強調した。「ベネズエラの経済的加盟を認めるが、チャべス大統領の政治手法と論理をメルコスルへ持ち込むのは拒絶する」が大勢を占めた。しかし、チャべス大統領はメルコスルの体質改革を宣言しており、ベネズエラの政治は民主的なのか専制的なのか見解が与野党で大きく交錯した。
上院でのベネズエラ審議は、下院よりも不透明である。チャべス手法は総選挙で国民から過半数の支持を得て民主的手法を経ているものの、このタイプの民主主義が中南米に持ち込まれると将来に禍根を残すと野党は見ている。
下院法制委員会の審議は、ベネズエラ国営放送が一部始終を同国向けに実況中継した。今後のラテン・アメリカの行方を決めるもので、世界が同放送を注視しているという。ベネズエラは最近、イランとの関係も強め、イスラム圏へ広がる可能性を秘めている。ウラン濃縮を巡ってイラン攻撃が起これば、原油は二百ドルに暴騰するとチャべス大統領は世界へ向けて宣言した。ペルシャ湾封鎖の可能性もあるという。
ベネズエラの見方によれば、政治的にも常識的にもラテン・アメリカの動向で鍵を握っているのは、ベネズエラだと豪語した。スペインのTV放送は、チャべスの音頭取りでベネズエラとキューバ、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、ウルグアイ、パラグアイのブラジル包囲網は完成したと報じた。