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黒人は非業死が多い=病院は人種差別の黄泉の門=肌の色が決める過酷な運命

ニッケイ新聞 2007年11月22日付け

 ブラジルの人種問題に寄せてリオデジャネイロ連邦大学の研究班は二十二日、白人の死因は病死が多いのに、黒人(以下混血を含む)は非業死が死因の多くを占めると報告した。人種の不平等は所得と学歴も起因するらしいが、黒人の場合死因の多くは自然死でないことが社会の考えるべき問題だと訴えた。
 同研究班の調査では一九九九年以後、殺人やエイズ、肺病、産死などを死因とする人種の不平等化が顕著だという。白人はこれらの死因が減少する一方で、黒人は増加した。エイズでは男女共に、それが明白だとしている。
 病院での応対や医師の診断にも人種の不平等が、指摘されている。原因不明の病死では、社会格差と人種による死亡数で相違がハッキリしている。黒人女性の一五%が、原因不明の病死だ。それが白人女性は、八%だけ。産死では黒人女性が、充分な治療を受けていないことが明白。
 黒人や治療費の余裕がない家庭の患者に対する病院や医師の応対調査は、困難とされる。学歴や所得調査によると、黒人がいつも不利な立場にある。病院に入るときは、肌が黒いだけで充分な治療を受けられないことを覚悟しなければならない。特に傷害事件で瀕死状態の入院なら、運命は決まっている。
 肌の白黒で運命が決まるなら、誰を恨むか。米州機構(OAS)の要請を受けてサンパウロ州政府は二十日、黒人なるが故に就職できなかった人に三万六千レアルの弁償金を支払うと声明を発表した。該当する黒人は、裁判所へ人種差別を提訴し受理してもらう。
 公的機関が、人種差別に対し弁償を表明したのは初めて。シモネ・ジニスさんは一九九七年、メイドとして応募したところ、黒人だからと断られた。検察局に訴えたが、事実無根で棄却された。それが盗聴記録により「採用は白人のみ」とした返答が立証され、人種差別が立件された。