ニッケイ新聞 2007年11月15日付け
三人死亡、四三人負傷。これはペルナンブコ州レシフェの留置所で起きた暴動による被害者の数だが、十月十五日のエスタード紙に報じられた、刑務所内の死亡者一〇人中三人は殺害されたものという数字が生々しくよみがえる。
レシフェの暴動は十一日から始まり、その日のうちに一人が殺害された。対応はすぐにとられたが、配置された警官隊では十分に鎮圧できなかった。一四日のフォーリャ紙によると四度目の域内占拠にあたる十三日の鎮圧作業(四四五人動員)でやっと落ち着いた。この間、十二日、十三日にも各一人が殺され、十二日の被害者は斬首の上、遺体も焼かれていたという。
暴動は三九〇〇人余りの収監者のうち二五〇〇人によるもの。鎮圧後、リーダーら一〇〇人は別の刑務所へ移送された。また、破壊された棟に居た四〇〇人は使用開始予定の新棟に、残りは三つのグループに分けて収監される(一七棟のうち二棟が破壊され、六棟が略奪された)。この留置所の収容人数は一四四〇人だが、実際には三九三〇人が収監されていた。
十四日付エスタード紙には同じ紙面にパラナ州の刑務所でハンガーストライキの報もあるが、それ以上に注意を引くのが、国連提出の「ブラジルでは、刑務所内での拷問が組織的に行われている」との報告書の記事。それによると、刑務所の収監者らは非人道的な取り扱いを受けており、当局もそれを知りながら、改善する意志がみられないという。
これに対し政府は、刑務所の管理は州の責任と弁解し、国としての取組みは何ら明らかにしていない。
犯罪の増加は全国的に見られるのだろうが、サンパウロ州の刑務所では六〇〇〇人/年で収監者が増え、完全にすし詰め状態。脱走は全国では七七・六人/日という。
レシフェの暴動では、首謀者らは事件の取調べの迅速化、子供の面会許可、訪問者の登録廃止など六項目を要求していたが、棟の管理にあたる担当者の交替だけが受け入れられた。収容人数の四倍近い収監率という刑務所もあるらしく、食事、医療、移送時の取り扱い、その他、収監されている人たちからは、あれもこれもが拷問、虐待にあたるという訴えもあるようだ。