ニッケイ新聞 2007年11月10日付け
「水でくっつく魔法の小粒」と書かれたパッケージに入った一五〇個の小さな粒。この粒が水と一緒になると、先週リオ州で青年の命を奪った麻薬エクスタシーと変わる。もしそれを小さな子供が飲み込みでもしたら…。
実は、それは世界四〇カ国で販売されているおもちゃ、Aqua Dots(Bindeez)で実際に起きている。内容は、パックに入っている凹凸のついた板に小さな粒を並べ、好きな形を組み立てていくものだが、その粒をぬらすと粒同士がくっつき、立体的な絵になるというもの。ブラジルでは、六月からロング・ジャンプ(Long Jump)社が輸入しているが、豪州や米国で、粒を飲んだ子供がめまいや吐き気を起して入院したりする事故が相次ぎ(九日のフォーリャ・オンラインによると報告は八件)、誤飲すると量次第では昏睡から死に至るGHBという物質に変わることが明らかにされた。九日付フォーリャ紙によると、三歳児なら、二粒で具合が悪くなり、三粒になれば死に至る危険さえあると言う。
八月のマッテル社のバービー人形などのリコールとグリバー社のマグネティックスのリコール(小さな磁石が問題)、九月のマッテル社バービー人形用の家(鉛の入った塗料の問題)と、三カ月で四件目の中国製玩具のリコールに、消費者保護団体から安全基準合格証を発行している機関(Inmetro)への批判の声も。幸い国内での事故の報告はまだないが、ブラジル消費者保護協会(Idec)では輸入業者に速やかな回収を命じるとともに、消費者への通達を求めた。九日付エスタード紙によると、八日現在、国内での販売個数は明らかにされていない。
なお、四日付フォーリャ紙によると、エクスタシーは国内消費が急速に伸びた麻薬(今年十月までに一五万七〇〇〇錠押収、昨年度は一万九〇〇〇錠で七二五%の伸び)で、酒に混ぜて飲ませ、眠りこけた人から所持金を奪ったり暴行したりと言う「おやすみなさいシンデレラ」事件によく使われる。また、音楽を鳴らし二四時間興じる若者向けの集会などで常用するようになる人も多い。症状としては、陶酔感、幻覚、眠気、不整脈、呼吸器系障害などを引き起こす。