ニッケイ新聞 2007年11月10日付け
世界貿易機関(WTO)でブラジル代表は八日、同機関の調停委員会(OSC)へ米政府が過去一九九九年から二〇〇五年の六年間、農業生産者に支払った農業補助金の内容を調査するよう要請したとBBC通信が報じた。これは、WTOが設定した農業補助金の上限を超過していることを証明するため。
ブラジル外務省の理解では、米政府がWTO制限枠を年間百九十億ドルも超過したと見ている。二〇〇七年八月行われた伯米合同会議で、政府は米政府の傍若無人な農業補助金制度にブラジルが対抗する力はないし、ブラジルの農業生産者から失望感を払拭することもできないと抗議した。
カナダの農業生産者も同様の立場にあることで、OSCの設置要請は連名で行うことになった。伯加両国は十一月十九日、OSCを交えて会合を行い問題点の分析を行う。その分析結果が、十二月のWTO会議へ提出される。
WTOは、次回ドーハ・ラウンド(多国間交渉)で農業補助金のネックを主要議題として取り上げる意向だ。まず農業補助金を協議してから、第二段階として市場開放へ入る。米政府は、WTO裁決が下されたにも関わらず綿生産者補助金でWTO規定を守っていないことで、WTOがブラジルの言い分を優先する意向らしい。