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ベネズエラ=デモ鎮圧に暴力団投入か=憲法改正の意図懸念=専制体制へ足固めをする隣国=疑心暗鬼で溝が深まる伯べ間

ニッケイ新聞 2007年11月09日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ブラジル議会でメルコスル加盟承認がちゅうちょされているチャヴェス政権は七日、憲法改正反対デモの鎮圧に暴力団を投入した疑惑があるとして国際社会のひんしゅくをかった。武装した暴力団は、大学構内へ避難したデモ隊に発砲し八人が負傷。証言者の話によれば、武装したグループは偶発的なものではなく、デモの抑圧に狩り出されたチャヴェス大統領につながる者たちだとされる。
 チャヴェス大統領の憲法改正案は下院を通過し、十二月二日上院で最終審議に入る。改正案の問題点は、大統領任期を六年から七年へ延長し、再選を認める。これは、実質的にチャヴェス終身大統領を意味するもの。ベネズエラ野党は、上院の承認阻止へ向けて激しい抵抗を試みた。
 チャヴェス大統領は、支持者八万人と報道陣をカラカス市中央広場に招き憲法改正キャンペーンを繰り広げた。学生を含む反対派は、大学構内に結集した。そのとき覆面をした武装集団が大学構内へなだれ込み、反対派集団を解散させようと試み衝突した。
 政府要人は、武装集団の構内侵入を知らなかったという。大学構内が政治紛争の場に使われることで、大学側からも早期解決が要請されていたと述べた。野党は最高裁へ十二月二日の審議延期を申請し、チャヴェス大統領は集会禁止条例を草案中であった。
 反対派の学生連盟は、国民の殆どが憲法改正の中味を理解していないと慨嘆した。憲法改正には、チャヴェス大統領の長期政権と中央銀行の独立権限廃止も含まれる。これは、チャヴェス大統領がベネズエラの国家資産を私物化するものだと野党は訴えた。
 チャヴェス大統領の動きには、ブラジル政府も潜在的脅威として注視している。ベネズエラのメルコスル加盟は、その真意が不明として議会も審議を先延べした。ルーラ大統領が、サイトウ空相に三十六機の戦闘機購入を許可した背後にベネズエラがある。
 チャヴェス大統領の「ベネズエラ国家確立のために歯も治療する」発言が、ブラジルを刺激したのも事実。チャヴェス大統領の軍事力強化は空軍に向けていることで、単なるゲリラ戦ではなく国土防衛という政治改革に隠された側面もあるといえそうだ。