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酒関係規制法案、下院へ=範囲広げ、国道での販売禁ず

ニッケイ新聞 2007年11月09日付け

 日本の交通安全キャンペーンに「ちょっと待て、その一杯が事故のもと」というキャッチフレーズがあったが、ブラジルの飲酒運転、交通事故の実態は、七日に上院の憲法・法務委員会を通過し、以後、下院に回される酒関係規制法案によって改善されると思われる。
 問題の法案の内容は、市街地から離れた国道沿いの売店やガソリンスタンドでは、アルコール濃度〇・五度以上で飲用に適した温度の飲み物(冷たいビールやトニックなども含む)の販売や飲用を禁ずるというもの(国道沿いとしたのは、十月二十六日付エスタード紙の表現による。八日付のエスタード、フォーリャ両紙には自動車道路沿いとしか記されていない)。
 これまでも、酒関連の法案は連邦議会に提出されてきたが、いつもメーカーからの圧力などで実現には至らなかった。これに対し、今回の法案は保健相自らが二〇〇三年来検討してきた国内の常飲を抑制したいという考えに基づいたもので、自治相他の複数閣僚の署名を得て上程されたもの。飲酒や交通事故の実態(一部十月二十三日付本紙既報)に、せめてハンドルを握る者が酒を手にする機会を無くそうと意図している。
 飲酒そのものについても少し述べるならば、今年八月の調査では、国民の一二%以上がアルコール依存症にかかっており、過去一年以内に酒に起因するトラブルが少なくとも一度はあったと言う成人は飲酒経験者の四五%、一八歳から二四歳の青年で飲酒経験者では五三%に上る。また、ビールは酒類中最も消費量が多く、近年のアルコール依存症増加の一因ともなっている。
 今回の法案で酒の定義を拡大し、その販売を制限することは、宣伝時間の制限と並び、酒の常飲者減少を念頭においたものだが、保健相らは、常飲者減少により、暴力や交通事故による入院、死亡者の減少、保健分野の出費減少と寿命の延び、青少年のアルコール消費拡大の抑制などの効果が期待されるとしている。