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リオ市で一時ガス供給停止=大局的なエネルギー対策必要

ニッケイ新聞 2007年11月01日付け

 異常乾燥下では、いつ断水が起きるかとひやひやしていたものだが、三十日のリオ市では一部で天然ガスの供給が止まり、薬品会社バイエルなどが操業を停止せざるを得なくなったほか、八九のガソリンスタンドでの天然ガス補給も制限された。
 この供給停止はペトロブラス社からの供給削減のためで、サンパウロ州とリオ州への天然ガス供給は一七%削減されるという。このため、リオ州では三十日、容量にして一三〇万立方メートルが削減された。
 このガス供給削減について、ペトロブラス側は、サンパウロ州のコンガス(Comgas)とリオ州のCGE、CGE―Rioの三社がこの一年余り、契約書で取り決められた量以上にガスを搬送していたため、契約書に基づいた量に戻しただけで、二週間前に通知してあったという。
 しかし、三十一日付エスタード紙によれば、全国電力システム運営機構(ONS)は、乾季となって水が不足する期間中の火力発電の必要コストを抑えるために天然ガスの需要が高まったことが原因としている。電力量の確保と料金をなるべく抑えるために、発電の主力は水力発電としたいところだが、それがかなわない場合に原料価格から選ばれるのが天然ガスであると言うのだ。
 三十一日付フォーリャ・オンラインによると、司法サイドの指示によりガスの供給は間もなく回復するとみられるが、火力発電と工業生産、ガソリンスタンドでの販売、商業、家庭用燃料といったすべての用途に見合うだけの天然ガスが確保できるのかという問題は残る。
 ガスの供給カットの影響は、リオ市の場合、先のバイエル社ほか、ナシオナル製鉄会社(CSN)など、工業分野の大手八社への供給停止、ならびに八九のガソリンスタンドで夕刻までガス補給停止といった形であらわれたが、これは、商用と家庭用のガス供給に支障が生じるのを防ぐため。
 また、サンパウロ州では、コンガスが、大手七社には重油を供給することで合意しており、家庭用とガソリンスタンド用の供給には影響は出ないとしている。
 三十一日付フォーリャ紙には、ボリビアでのペトロブラス操業再開について(本紙既報)、ブラジル側にも国内での天然ガス供給量の確保の必要があったことと政治的な思惑が働いているとしているが、近い将来、電力供給量が需要に追いつかなくなるとの懸念がある中での天然ガス供給量の確保問題は、ある意味での死生活問題でもあることが垣間見られたともいえよう。