ニッケイ新聞 2007年10月31日付け
農業分野の貢献者を称える山本喜誉司賞の選考会が九日に行われ、四人の受賞者と一人の功労賞受賞者が決まった。第三十七回授賞式が十一月二十三日午後七時から、サンパウロ市文協ビル二階貴賓室で開かれる。
同賞は故・山本喜誉司氏(初代文協会長、農学博士)が農業技術者の育成を目的に設立した日系農業技術研究会(ABETA)がはじまり。選考基準は、「品種改良」「技術革新などの農業専門分野での功績」「農業分野へのあらゆる社会的貢献度」のいずれかに該当し、地域から推された人。
今年は昨年表彰にもれた八人を加えて十五人の候補者の中から選考した。十六人の選考委員が三人に投票し、その得票順に選んだ。
昨年までに受賞した農業者は約百十人。案内に来社した山中イジドロ同選考委員会委員長は「ブラジル国内でも農業面の功労者を称える賞はとても少ない」と述べ、長年にわたり日本人移住者の功績を記してきた同賞の意義を強調した。
受賞者と受賞理由は次の通り。敬称略。
【山本賞】
神谷栄(大阪府出身、77)=南マ州ナビライ市の神谷グループの代表。七八年に農業組合・COPASULを創立。
前田育人(山口県出身、85)=中国原産「レイシ」の栽培と普及。砂質土壌を利用したスイカ栽培、加工用トマトの栽培では灌漑設備の導入。
山下昇(北海道出身、74)=大型潅漑施設(ピボー・セントラル)をフェイジョン栽培に導入。八〇年にはゴヤス州イパメリ郡に第二農場を開設。
山中正二(岩手県出身、69)=マラクジャ、スペイン・メロン・ラジャー種、アセロラの普及。パパイア・ハワイ種の産地形成、胡椒栽培技術の改良。
【功労賞】
浦田昌寛(JICAシニアボランティア)=柿優良品の多収獲、すももの樹勢回復、デコポン、銀杏、日本種ブドウの栽培など。聖南西地区、モジ方面、ミナス、サンタ・カタリーナ州で訪問指導を実施。
詳しくは文協(電話=11・3208・1755)まで。