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「0(ゼロ)からの風」=命の問いかけ、ブラジルからも=文協=水曜シネマで本日上映

ニッケイ新聞 2007年10月31日付け

 命の大切さ訴えたい―。文協の水曜シネマで本日三十一日午後一時から、サンパウロ国際映画祭招待作品「0(ゼロ)からの風」(塩屋俊監督、百十一分)を特別上映するにあたり、二十九日、塩屋監督と主人公茂木圭子のモデルとなった鈴木共子さんが文協で記者会見を行い、多くの来場を呼びかけた。
 二〇〇〇年、早稲田大学に入学したばかりの一人息子零君が飲酒運転の車にはねられ死亡する。
 加害者は、飲酒、無免許、再犯であるに関わらず、業務上過失致死で五年の刑期であることに疑問を抱いた圭子は、刑の厳罰化を訴える活動を展開。
 三十七万を超えた署名は、国会を動かし、「危険運転致死傷罪」新設に繋がってゆく――。
 母の闘いは続く。「息子の人生を代わりに生きる」べく、息子の机、参考書、ノートを辿り、受験勉強。〇三年、早稲田大学に見事合格する。
 塩屋監督が鈴木さんの活動を知ったのは、大学合格を知らせるニュース番組からだった。
 「この挑戦を映画化しなくては」という強い衝動が生まれ、鈴木さんの闘いを追い続けた。
 今年三月の卒業時での公開を皮切りに、全国四十カ所での市民ホールなどで公開。犯罪、いじめなどの犠牲者を人形パネルに見立てたアート展「生命のメッセージ展」とも併催する。映画の収益は、同展の運営費に充てられている。
 同展に参加した塩屋監督は、「ショックで言葉が出なかった。声高に叫ぶのではなく、粛々と命の尊さを訴えている」と力を込める。
 寄付・協賛金のみで製作したという映画に関して、「かなり反響があるのではないか。ショックを受ける人も多いと思う」と話しつつ、今回の公開が何かのきっかけになっていくことを期待する。
 「(映画という)直球でメッセージが伝わると思う」と鈴木さんは話し、命の大切さを今回海外初の公開となるブラジルからも伝えていきたいと意気込む。
 鈴木さん、塩屋監督は文協シネマで舞台挨拶を行い、上映後は、来場者たちの生の感想を聞きたい考えだ。
 文協会員は無料、非会員は三レアル。ポルトガル語字幕付き。