ニッケイ新聞 2007年10月27日付け
サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)の定例理事会が二十五日に開かれ、再来年の援協創立五十周年にあわせて計画されている援協新本部ビルの名称を「サンパウロ日伯援護協会・福祉センター(Beneficencia Nipo-Brasileira de Sao Paulo・CENTRO DE ASSISTENCIA SOCIAL)」とすることが賛成多数で決まった。サンパウロ市リベルダーデ区内の建設地の解体工事は来月から開始する予定。あわせて同センター建設の募金委員会が結成されたほか、援協総合診療所の運営管理を日伯友好病院に委譲することになった。
これまで同ビルの名称には「援協福祉医療センター」を仮称で使っていた。しかし「(援協)ENKYOの名を入れるとブラジル人には意味がよくわからない」といった理由が考慮され、今回の名称に落ち着いた。
同センター建設地であるサンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街の土地は、来月一日から家屋の解体工事をはじめる予定。「解体で出る廃品の再利用を条件にして業者と無料の契約を結んだ」と菊地義治第一副会長。現在はセンター建設工事の認可を市当局から待っている段階という。
福祉センターは、高齢の日系人が多く暮す同地区の医療・福祉を支えるほか、サンパウロ市中心部に暮す企業駐在員やブラジル人富裕層のニーズに応えることが期待される。内部には文協ビル地下にある総合診療所を移転し、最新の医療機器を備えた検査センター、援協福祉部、本部事務室、会議室、多目的ホールなどを備える。移民百周年の記念事業でもある。
先月の定例理事会で、同センターの施工会社に戸田建設が入札したと発表された。同社の予算提示額は競合した他三社のなかで最も安い約千百万レアル。しかし援協が今年度予算として用意する六百万レアルとかけ離れているのが課題だ。
そのため援協は同社と設計会社を交えながら、設計書の見直しや建設につかう材料などを踏まえて値下げを交渉中。しかし「平行線を辿り合意が難しい状況にある」という。
こうした状況をふまえ、関係者によれば、今月末に建設委員会の特別会議を開き、同建設案の方向性を再確認する。その際具体的な決定事項があった場合には、全理事を招集して臨時会議を開く意向だ。
また「センター建物・募金委員会(仮称)」の設置を発表。森口会長、菊地義治第一副会長、野村次郎第二副会長、尾西貞夫第三副会長、加藤英世第五副会長、山下忠男専任理事、税田清七理事の七人を委員に選出した。
同委員らは、友好病院建設時と同様に、ブラジル国内をはじめ日本側の関係企業などを訪問し、資金協力やセンターで使用する内装品、医療機器の援助などを訴えていく。
あわせて援協本部が管轄していた総合診療所の経営管理が来年一月から日伯友好病院に委譲されることになった。具志堅茂信事務局長によれば、現在友好病院が使用しているコンピュータシステムをそのまま診療所に転用し、事務処理の効率化をはかるなど、経営の合理化を進めるねらいだ。
会議ではほかに、各事業所の〇八年度の予算案と事業計画の作成について説明があり、来年度のインフレ予想率を六%と算出。また来年八月ごろにあわせて友好病院の創立二十周年記念誌の編纂をすすめることが紹介された。