ニッケイ新聞 2007年10月26日付け
すわ、炭疽(たんそ)菌!? 二十四日、ブラジリアの日本国大使館に「粉」が入った謎の封筒が届いた。
二十四日付け伯字紙各紙サイトによれば首都にある計十七の外国公館に同じような封筒が届けられ、一時は、映画「トロッパ・デ・エリーチ(エリート部隊)」で一躍有名になった警察特殊部隊(BOPE)や連警の爆発物処理班、核エネルギー国家委員会まで出動する騒ぎとなった。
〇一年に米国で起きた炭疽菌によるバイオテロでは死者五人を含め、マスコミ、議会関係者、政府関係者をはじめ、郵便局従業員から一般市民にまで感染被害をもたらす大事件になったのは、記憶に新しい。
NYタイムズ紙のリオ支局にも粉末入りの封書が送られ、検査で炭疽菌が検出かと一時、ブラジルでも大騒ぎになったが、結局は検出されなかった。
この時の炭疽菌は「白い粉」だったが、今回は「緑の粉」。しかも、差出人は「ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ」(ルーラ大統領)で、ちゃんと大統領の紋章とサインまであったという。
サンパウロ市郵便局の消印が捺されていることから、愉快犯の可能性も指摘されている。三十日後に警察の鑑識結果が出る予定。同封筒を受け取った公館は米国、オーストラリア、カナダ、ペルーなど多数に渡る。
日本国大使館に対応を尋ねると、同封筒は警備担当者から警察に渡されており、「イタズラかどうかは何ともいえない。今のところ被害は何もない」と話した。