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守りきれるか、トップの座=エタノール生産に衆目集まる

ニッケイ新聞 2007年10月25日付け

 十五日付けフォーリャ紙コラムに、二〇〇五年に来伯したノーベル賞受賞者が「近い将来ブラジルはエタノール部門でのリーダーシップを失う」と言い、世界中の専門家も同意と書かれていた。ブラジルが広大な土地と過去に培ってきた技術の上に安住していれば、他国の技術発展により、いつの日にかその栄光を失う。無策のままでよいのかと。
 しかし、二十四日のエスタード紙によると、二十三日に経済開発協力機構(OCDE)が発表した声明では、生産性向上と生産コストの低下でブラジルはエタノール生産のトップを走り続けるとするとともに、二〇一六年までにブラジルのエタノール生産は一六一%伸長し、五億トン相当のサトウキビのエタノールを生産すると予想。OCDEによれば、ブラジルは政府補助金なしにエタノールを生産している唯一の国で、原油価格が三五ドルまで下がっても、競争力を保つという。また、エタノール需要は拡大し続け、今後一〇年で必需品市場の目玉の一つになるとするいっぽう、先進各国は農業部門への補助金をもっと増やすべきだとしている。
 ブラジル以外の国についてOCDEは、米国のエタノールの生産は二〇〇七年中に五〇%伸び、二〇一六年までには倍増すると予想するが、原料供給の不安、補助金の増額の必要とともに、生産者保護のための関税が国際競争力アップの障害となっていると分析。また欧州については、増産のため各国の努力を認めつつも、二〇一〇年までの必要量の五・七五%生産という目標に達成できず、三・三%の生産に止まると予想。
 原料となる農産物については、ブラジル内での森林破壊の問題やアルコール生産者と農業生産者間の土地分割といった問題もあるが、それとともに、〇六年中に食物油が一五%、トウモロコシが七・五%高騰など、食料品価格への跳ね返りが懸念される。安定供給できる材料の廉価入手が今後を決める。また、二十三日付けフォーリャ紙では、バイオ燃料などのクリーン・エネルギー生産のため、世界各国は研究開発費として現在の二倍の投資が必要と説いている。
 なお、OCDEは、二〇一六年にはブラジル産のサトウキビの六〇%がエタノール生産にまわされる(現在は五一%)が、サトウの輸出も世界輸出の五〇%(現在四〇%)を占めるようになると予想している。