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進むアマゾンの森林破壊=大局的な解決策の必要

ニッケイ新聞 2007年10月20日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日―十九日】ロウセフ官房長官は「ブラジルは十分なサトウキビ栽培用地を有し、アマゾンの熱帯雨林を伐採する必要がない」とした(既報)が、それとは裏腹に、アマゾンの森林破壊が進んでいることが再度報告された。
 ここ三年は低下傾向であった森林伐採は、今年に入ってからは明らかに増加傾向にあり、十六日付のエスタード紙では、マット・グロッソ州の六―九月の伐採は二六二平方キロ、昨年同期比一〇七%と報じられた(既報)が、十九日付同紙では、六―九月のアマゾンの森林破壊が昨年同期比八%増となっているとの国立宇宙調査研究院(Inpe)報告を掲載。特にパラー州では破壊地域の六五%が保護指定域にあることが憂慮される。
 この森林破壊の二大原因は経済活動と乾燥気候と見られる。十七日既報のように大豆などの先物取引価格高騰が火付け役になったいっぽう、パラー州では八月だけで火災の報告が一九二〇件(昨年八月は一六七四件)というように、異常乾燥の影響は森林破壊にも現れている。また、森林伐採の監視システムの構築も言われているが、十七日付のエスタード紙では五〇ヘクタール以下の小規模の伐採が増えているとされ、監視システムの目をかいくぐる形の伐採が進むことが考えられる。
 ちなみに、全体の森林破壊は八%だが、昨年九月時点と今年九月時点との比較では、アマゾナス州で四三%、パラー州五九%、マット・グロッソ州八四%、ロンドニア州では何と六〇二%という驚異的な数字で破壊が進んでいる。
 十八日付けエスタード紙では、ノーベル平和賞受賞者のバリャウリ氏が、アマゾンの森林破壊がこのままで進んだ場合、ラ米での穀物生産は二〇八〇年までに三〇%の減産となり、現在ラ米だけで一二〇〇万人が苦しんでいる水不足は、八一〇〇万人を苦しめることになると警告。国内でも再生システムの整備がいわれてはいるが、同氏は先進国を中心にアマゾン地域の経済活動のための補助・支援を考えるなど、ブラジル財産としてのアマゾンであることを認めつつ、世界大で考えていく必要があることを提唱している。