ニッケイ新聞 2007年10月19日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】中央銀行の通貨委員会は十七日、二〇〇五年九月から連続引き下げた基本金利を市場の予想を覆し、現行の年利一一・二五%を来る六週間据え置くと決定した。ルーラ大統領は十四日、金利の引き下げ中止時期ではないと宣言し、そのようなことがあれば事情を説明させるといったが、中銀は大統領発言を反古にした。中銀は、経済の過熱による物価への影響を憂慮すると説明。議事録は二十二日、詳細公表される。
大統領の期待を裏切って中銀は、満場一致で基本金利を据え置きとした。マクロ経済を観察した結果、通貨委員会(Copom)は妥当な判断をしたという。市場は好調で価格調整をしても、不思議ではない状態にある。設備の稼働率や前向きな設備投資、次期四半期の過熱景気、前四半期の全般需要がインフレ誘引の条件を満たしたという。
また産業界が急速な消費の伸びに応える生産能力があるかについて、中銀は疑問を持っているともいう。需要の伸びに生産が追いつかないと、消費市場は自動的に価格調整を行う。この懸念も、中銀にあった。中銀は基本金利が、インフレに及ぼす影響を九か月の後と計算している。
基本金利の引き下げを期待していた筋は、次の二点を挙げる。為替が九月の金融危機で、一時期一ドル=二レアルへ盛り返したこと。それに製造業者は、資材の輸入を急いで市場の需要に応えようとした。製造業は、設備投資で財政的にひっ迫すること。
また最近のインフレ状況が、物価の値上げ圧力にまで至っていない。二〇〇七年中頃、食品にインフレ圧力が見えたが、政府の目標内に留まった。二〇〇七年の消費者物価指数(IPCA)は、三・九%。二〇〇八年も四・三%で、目標の四・五%以下に治まりそうだ。これも、金利引き下げに期待した理由である。