ニッケイ新聞 2007年10月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】映画さながらに繰り広げられる銃撃戦。だが、場所によってはそれが現実であることがまたも実証された。
十七日午前からリオ市西部のファベーラ・ダ・コレイアで行われた警察特殊部隊による摘発では、麻薬密売者(第三プーロ・コマンド)のメンバー一〇人と四歳の男児、警官一人が死亡、一四人が逮捕された。
摘発が始まったのはフォーリャ紙によれば九時半ごろ。突入する警官隊と抗戦する側との間で激しい銃撃戦となり、密売者たちが立てこもった家(銃火器もここで押収された)の前で警官一人が被弾し死亡。向かいに住んでいたカウエ少年が胸部に被弾し倒れたのを見た警官の一人は少年を救おうとして負傷。別の警官に託された少年は病院に運ばれたが死亡した。死亡した警官を助けようとした警官三人も負傷した。
密売者たちの抵抗は、予想以上に激しく、ファベーラ内に封鎖された形になった警察隊はヘリコプターからの射撃も含む応援部隊を要した。現場が炸裂音から開放されたのは七時間後。機関銃一丁を始め、小銃、ピストル、手榴弾、散弾、麻薬が押収された。
エスタード紙によれば、カウエ少年一家は今年始めにこのファベーラに移ってきたばかり。一歳にならない幼子を胸に、倒れた我が子を救うすべもなかった母親は、ショック状態で病院に運ばれ治療を受けた。
犯罪組織との対決姿勢をはっきり打ち出し、「保安局は犯罪組織摘発のための白紙委任状を渡されている」としているリオ州知事だが、昨年五二〇件であった麻薬密売者の摘発が、今年は既に六二四件。摘発に伴う死者も昨年同期の三三・五%増となっている。犠牲なくして平和を望むことは困難な状況と言える。