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選挙高等裁=議員権は党に属すと判断=当選後の移籍は法度=俎上にあがる上議4人=最高裁が実効期日決定

ニッケイ新聞 2007年10月18日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】選挙高等裁判所(TSE)は十六日、政治家の党忠誠について論じ、全ての立候補者は選挙当選後に党を移籍すると議員権はく奪の対象となる可能性を示唆する裁決を下した。選挙高等裁の見解では、議員権は党に属し、議員個人の所有ではないとした。同裁決は、最高裁へ回り最終的にTSE決定の実効日が決まる。党移籍は、二〇〇七年三月二十七日までとなった。上議四人が、それ以後に移籍し、最高裁の判断を待っている。
 これまでのTSE裁決では、下議と州議、市議の党移籍が対象であった。新裁決は上下議を始め、市長と副市長、知事、副知事、正副大統領も党を移籍すると議員権はく奪の対象となる。TSEの見方は、全ての立候補者は党に属する必要がある。また党の公認を得て、選挙戦を勝ち取ることが可能だという。
 さらに立候補者は自分が選んだ党を代表することで有権者の信任を得、国会へ送られると見ている。このような理由により議員権は、党に属すると考える。ブリット判事は、当選後に党を移動する議員は、自身の議員権放棄であるという見方を表明した。
 全ての議員は合法的な選挙で選出され、国民の代表という制度につながっている。議員に党名と党公認を与えられるのは、党だけである。有権者は、党と立候補者を一つのものとして選んでいる。立候補者が当選した党を軽んじて離党するのは個人的な打算であり、人身保護でも政治的圧力でもないとデウガード判事が糾弾した。
 同裁決により党は、去っていった離党議員の引き戻しを最高裁へ申し立てることができる。上院ではボルジェス上議(PR=共和党)やロボン上議(PMDB=ブラジル民主運動党)、トゥーマ上議(PTB=ブラジル労働党)、サボイア上議(PDT=民主労働党)の四人が俎上に上がっている。
 TSE裁決に対し政治科学のオリベイラ教授は、政治が世俗化したため、変化は期待できないと慨嘆した。ブラジルの政治は、大統領制帝国主義だとした。ルーラ大統領が党を移籍したら、国民はPTに投票するか、ルーラ氏に投票するかが見ものという。
 党の移籍や忠誠心が問われるのは、弱小議員の場合である。立候補したとき友人や知人から色々頼まれ注文に応じることが、彼らの政治活動である。党を必要とするのは、選挙のときだけである。後は自分を高く買ってくれる所へ売り込むのが本命である。