ニッケイ新聞 2007年10月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日、十七日】今月八日以来上昇し続けている原油の先物取引価格が、十六日のニューヨーク市場で一バレル八七・六一ドルを記録した。この価格はさらに上昇すると見られ、イラン革命前年の一九八〇年に記録した九〇・四六ドル/バレルを更新し、一〇〇ドル/バレルに達する可能性を口にする専門家もいる。
この価格高騰の理由の一つは、クルド人勢力排斥のためのトルコによるイラク侵攻の可能性で、トルコ議会は十七日にイラク侵攻を承認した。
また、先月、石油輸出国機構(OPEC)が十一月からの生産目標を日産五〇万バレルと定めたが、非OPEC産油国の第4四半期の生産量は日産一一万バレルに減少するとの予測も拍車をかけた。また、先進諸国(特に米国)の原油備蓄量の減少も不安材料の一つとされ、先進国の備蓄量は過去五年間の平均を下回っていると言う。さらに、米国に端を発した経済不安でドル安となったことや、投機的な動き、生産・精製部門の技術的な問題等を挙げる筋もある。
この世界的な動きに対し、ペトロブラスのガブリエリ総裁は、十六日、「二〇二〇年まではこの不安定で高価格と言う状況は続くだろう」と語った。と同時に、同総裁は、レアルの高騰が原油価格の高騰を吸収しており、自国での生産量も確保されていることから、「世界的な原油価格は今年に入ってからだけで四〇%高騰しているが、ブラジル経済には大きな影響を与えていない」としている。
同総裁によれば、国内のエネルギー事情に関しては、二〇三〇年までは石油、石炭、天然ガスの生産に大きな変化はないが、交通機関でのアルコールの使用量が増加するなど、今後のバイオ燃料の比重は大きくなる。そのためにペトロブラスはバイオ燃料の開発投資として、二〇一二年までに一五億ドルを目標としていると言う。