ニッケイ新聞 2007年10月11日付け
【BBC通信十日】国際通貨基金(IMF)は九日、「国際化と所得格差」と題する報告書を発表し、これから国際経済が前例のない成長を続け、全地域へ一様に分布するという予測をした。グローバル経済の偶発性は、形を変えつつ安定した方向へ長い期間続くという。東欧や東南アジア地域、ラテン・アメリカではそのため、所得格差が増大している。
経済政策に携わる当事者は、金融のグローバル化が新しいリスクと動揺を招く可能性があるので、景気低迷を招く小さな波は考慮する必要があると警告した。所得格差の傾向は、ブラジルとメキシコを例外として定着している。
中国とインドでは、経済成長により所得格差が歴然とした。いっぽうブラジルやメキシコ、ロシアでは是正されつつある。国民の期待とは逆に産業のグローバル化は、格差是正に役立たない。ところがブラジルの場合は、農産物輸出が所得の格差是正に役立った。
経済発展が格差の是正に供するのは、労働力を主力とする農産物の輸出に限るといえそうだ。ブラジルやアルジェリア、ニカラグア、タイなどが、そのよい例といえる。
不動産ローンを火元とする金融危機で、金融界にクレジットの枯渇が危惧された。グローバル経済は上昇気流に乗って以来、五年目にはいる。七〇年代の
順調な景気に比べると長期間、各国で広範囲に経済を潤した。
第二次大戦以後、再興不可能なりセッションは遠のいたとIMFは見ている。また途上国経済では、複雑な経済サイクルの様相を見せるようだ。中国とインドの経済発展は、ほぼ似ている。しかし、ブラジルやチリ、メキシコ、アルゼンチンなどラテン・アメリカ諸国は七〇年代以後、金融危機によりめぼしい経済発展をしていない。