ニッケイ新聞 2007年10月11日付け
広島県を代表する医師や研究者ら七人(碓井静照団長=広島県医師会会長)による、ブラジルの医療関係者を対象にした初めての被爆者医療研修が十一日、サンパウロ市のサンタクルス病院で行われる。来社した在ブラジル被爆者協会(森田隆会長)の娘、綏子(やすこ)理事は「帰国治療する余裕はない。現地治療の実現を期待している」と語った。
午前九時半から開始し、碓井医師会会長による「平和への願いー被爆体験と被爆者医療」、広島大学大学院の伊藤勝陽教授による「放射線の人体への影響―これまでの広島における研究の到達点」、広島赤十字・原爆病院の土肥博雄院長による「後障害―がん・白血病、がん以外の疾患」など。午後四時の研修終了後、修了証書が渡される。当日はポ語通訳がある。
それまでは日本国内からしか申請できなかった、健康上の問題をもつ被爆者への補助金である「健康管理手当」の申請が、昨年から海外からもできるようになった。同病院ではこれまで、率先して申請に必要な検査を献身的に引き受けてきた経緯がある。
同病院の診療医療管理者の藤村ゆりさんと共に来社した小沢カルロス院長は「これからはブラジルでも治療ができるように、我々も勉強したい」と意気込みをかたり、医師のセミナー参加を呼びかけた。