ニッケイ新聞 2007年10月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ州アラサツーバ市で七日夜、サンパウロ州検察官が路上脇に待機していたバイクに突っ込み、親子三人をひき殺す事故を引き起し、市民の怒りを買っている。警察の検証によると、事故は午後八時四十分ごろ、検察官の運転するジープのランジェーが一方通行の反対方向を猛スピードで走り抜け、バイクと正面衝突する形で突っ込んだ。ジープはブレーキが間に合わず、バイクの運転手(二七)を五〇メートルも引きずって停車した。警察によると、事故を起した検察官は飲酒運転をしており、さらに、車内にはビンや缶のビールが積まれていたという。目撃者によると、検察官は事故の直後、ビールを飲みながら車から降りてきたとのこと。バイクの運転手とその恋人(二六)およびその息子(七)は即死だった。
しかし、事故の原因が明白であり、検察官の落ち度が実証されているにもかかわらず、検察官は現行犯で逮捕されずに済んでいる。特別公務員法でこの種の逮捕には州検察当局の承認が必要となっている。
三人の犠牲者の葬儀ではこれが話題を占め、「特権階級は罪にならぬのか」、「貧乏人は死に損なのか」といった声が大半を占めた。
検察当局は検察官が飲酒していたのであれば処罰の対象とするとの姿勢を示している。当の検察官と弁護団は飲酒の事実を否定していることから、結論には時間がかかるものと見られている。