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高齢化は誰もが通る道=老人ホームの実態を見る

ニッケイ新聞 2007年10月9日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】毎月三八〇〇レアルの高級ホテル住まいから無認可の老人ホーム、家庭での介護まで、今や人口の一〇%に達した六十歳以上の人々の暮らしは様々であるが、エスタード紙には老人ホームの実態が報告されている。
 報告によると、全国で約六〇〇〇の老人ホーム(サンパウロ州には二〇〇〇)に約一〇万人の高齢者が暮らしているという。居住者の大半は伴侶と死別あるいは離別、また、独身の女性(北伯だけは居住者の七割が男性)で、家族が面倒を見ることが出来ないか見たくないというケース。多くのホームは慈善事業として営まれているが、社会援助に頼るところが大きく、政府援助は中流階級の人々が住む地域のホームが一〇〇〇レアル/人の経費を必要とするところに六四レアルしか支給されていない。
 また、サンパウロ市を例に取ると、公認ホームは六〇(無認可ホームは全体の七〇%以上)で、年頭からの視察では、五〇だけが適切な状態で運営されていると言う。また、責任者がニセ医師であったり、食料品などの管理が不適切だとして閉鎖されたホームも一四あったと言う。また、家族との連絡もなく、孤独な居住者や、年金だけでは足りず、小物を売って足しにしている人々もいる。
 ブラジルでも高齢化は急速に進んでおり、一九八〇年には三%であった高齢者(六〇歳以上)が、現在は一〇%(約一七〇〇万人)。今後一五年でその数は二倍になるとされ、ホームの拡充、改善は急務として考えられているが、サンパウロ市で昨年中に認可申請したホームが一〇〇件あったにもかかわらず、実際に認可を受けることが出来たホームは皆無であったという。