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山積する議題を改めて認識=選挙後初の文協評議員会=国士舘委託案は先送り=委任状含め8割出席

ニッケイ新聞 2007年10月2日付け

 ブラジル文化福祉協会評議員会(渡部和夫会長)は臨時評議員会を文協小講堂で先月二十九日午前九時から開催し、百六評議委員のうち、八十五評議員(委任状二十五含む)が出席した。注目された国士舘スポーツセンターの使用権を地元日系団体に委託する件の決定は、十二月八日の定例評議員会に先送りとなった。ブラジル日本移民史料館の運営に関する議論では、長年、同館運営委員長を務めた二宮正人・評議員会副会長が「文協のお荷物というが歴史を知ってほしい」と声を荒げる場面もあった。山積した議題を評議員らに再認識してもらうような会合となった。
 理事会・評議員会選挙が行なわれた今年四月以来、初の評議員会となる今回、文協運営に関する多くの重要事項が議題に上った。
 文協がサンロッケ市に所有する国士舘スポーツセンターの一部使用権を地元日系団体に委託する件について、同センター運営委員長の栢野定雄・理事会副会長が運営方針や活性化を図る案を説明、地元団体関係者らも傍聴した。
 渡部会長は、アイデアや提案そのものには理解を示したものの「内容を書面で公開する必要があり、現段階では何も評決すべきではない」との考えを示した。
 これに対し、栢野委員長は、「議決してほしいと言っているわけではない。我々が推進していることを認めてほしい」と反駁、会場からは拍手が起こった。「『鉄は熱いうちに打て』の言葉もある。少なくとも方向性は認めるべき」との意見もあった。
 しかし、原田清評議員第一書記が「法的に準備を整える必要」を挙げ、渡部会長は「資金集めなどはまだすべきではない」と釘を刺したうえで、計画内容を書面化して提出することを条件に、十二月八日の評議員会で再討議することを提案、可決された。
 社会福祉関係事業に関しては、山下譲二理事会副会長が、四百万レアルを超える罰金が科せられているINSS問題に関し、裁判を有利かつ潤滑に運ぶ材料として、裁判所に一万三千レアルを供託していることを報告。それに関連して、中川デシオ社会福祉委員会委員長が、同会の解散を明らかにした。
 弁護士を本職とする原田書記は、「広義の意味で文協は社会福祉活動を行なってきており、法的にも守られている。断固として闘うべき」強調した。
 先日、史料館運営委員会の委員長に就任した栗原猛氏が紹介され、活性化や将来の展望についての計画案を説明した。

史料館の経緯の再認識を
 国士舘運営委員会の諸川有朋委員は、売却した旧コチア小学校にあった史料館関係の資料が国士舘に移管されたことについて、「どう取り扱うのか検討してほしい」と発言した。
 過去に十二年間も史料館運営委員長を務め、実状に詳しい二宮評議委員副会長は、一九七八年の史料館建設時にあった約一億円(当時)が駐車場建設など文協のために流用されたことなどを挙げ、「元々、史料館の運営費に充てられる約束の文協ビル六階部分の家賃収入はどうなっているのか」と強い口調で話した。
 続けて、「収入源をカットしておいて、赤字を批判されても困る。批判も大事だが、歴史を振り返ったうえで対策を練ってほしい」と執行部に対して、強い口調で注文をつけた。

地方団体との協働関係へ
 他団体との交流について、日系団体連絡委員会の桂川富夫委員長は、地方団体との協働やそれによる活性化を目的に、サンパウロ市で十二月一、二日、地方理事らを集めた討論会を開く計画を明らかにした。評議員からは「地方も大事だが、サンパウロ市内の団体との連携も重要」との指摘もあった。
 栗田クラウジオ・青年文協委員長は、九六年から続いている青年フォーラム「REVI」を十一月二日から三日間行なうとし、地方から参加する代表者には地元文協の事業として、経費を負担するなどの協力を求めた。
 白石マルセロ理事会副会長は「文協ネットは最も重要な文協の戦略」とし、年内の再構築を目指し、呉屋晴美、小林ヴィットル、秀島マルセロの三氏を委員に任命したことを発表した。
 会議は三時半にも及び、活発な意見交換が行なわれた。渡部会長は、八割の出席が見られたことに満足感を示した。