ニッケイ新聞 2007年9月29日付け
福祉センターが百周年事業に――。サンパウロ日伯援護協会の定例理事会が二十七日に開かれ、〇九年の援協創立五十周年の記念事業として計画してきた「援協福祉医療センター」(仮称)が、来年の移民百周年の記念事業として参加することに決まった。また同センターの建設施工会社が戸田建設になったことも報告された。
援協は高齢化がすすむ日系社会の福祉に応える目的で、同センターの建設案を昨年から計画。現理事の間で建設委員会を組織し、〇九年初頭での完成を目指している。
同委員会ではこれまで同建設案を百周年事業にすべきかと審議を重ねてきた。しかし「援協全体の組織の引き締めや人材の育成に力を入れるのが優先」といった表向きな理由で、対外的には百周年事業と一線を画する姿勢を表明していた。
しかしこのほど百周年委員会が、免税口座団体「OSCIP」を組織し、各記念事業における資金用途を明確化させたことによって、援協は自身のセンター建設費用が他の記念事業に転用されるといった心配がなくなったと判断。このほど百周年委員会から再度要請を受けたのを機に、百周年事業として参画する姿勢を固めた。
定例会ではある理事から「援協にとって百周年はやっぱり他人事ではない。福祉センターは援協だけのものでなくてコロニア全体のものと考えれば、百周年に参加協力するのはわかる」との声が聞かれた。
このほか、福祉センターの施工会社として戸田建設に決まったことが報告された。同社のほかに吉井建設やHOSS社、デニブラ社など日系企業も入札に参加したが、建設委員会が各社の事業実績と施工費用の両面を考慮して戸田建設を採用した。
戸田建設が提出したセンター建設の見積もり額は約千百万レアル。援協は神内医療福祉基金と日伯友好病院の売上げからすでに六百万レアルを今年度の予算に計上しているが、「これでは足りない。デスコントを交渉する必要がある」と関係者。
センターの建物は太陽光による内部の温度上昇を抑える目的で、アルミ製の最新の断熱装置を全体にとりつける設計を採用していたが、「これだけで百万レアル以上かかる」ことから、同案の見直しがまず検討されることになった。
またサンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街の同センター建設予定地は地盤がゆるく、基礎工事費が「思ったよりもかかる」ことが判明。駐車場を目的にした地下三階の計画を今後二階に減らすなどして「費用の削減を計りたい」という。
説明にたった菊地義治副会長は「外観よりも内部をしっかりすることが大事。援協の身の丈にあったものにする必要がある」と説明。今後は施工会社や設計会社、同建設委員会の間で会議をもち、予算のすりあわせをおこなっていく方針だ。
これに関連して今年末にかけて、関連企業などに同センター建設の協力を呼びかける募金委員会を結成したいと具志堅茂信事務局長から提案があった。センターの内装品や医療機器などを、日伯友好病院と以前から関係のある企業に協力を呼びかけていくという。