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ミクロ経済政策見直しへ=財務省が包括案策定=銀行手数料の規制など=税制改革の序曲

ニッケイ新聞 2007年9月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】財務省経済政策局のアッピ長官は二十六日、税制改革の一環とも言うべき、ミクロ経済政策を見直す包括案を起草中であることを明らかにした。同案には銀行の手数料規制や不動産保険の改正、自然災害に備えた農業保険基金、免税などに関する条項が盛り込まれ、十月に議会へ上程される予定である。マンテガ財務相は、包括案の目的が銀行手数料を統制するのではなく、透明性を高めるものだと、銀行協会の反発に応えて説明した。
 ミクロ経済政策の見直しは、税制改革の序曲だとアッピ長官がいう。同長官によれば、包括案は法整備による不動産保険の奨励と再保険のメカニズム開設、異常気象の頻発により自然災害に備えた農業保険のファンド設置、さらに免税特典の拡大などを盛り込んだものとされる。
 免税は第二段階において、工業政策の見直しと技術革新奨励のために実施する予定という。第二段階では、さらに銀行手数料に規制基準を設けるプロジェクトもある。銀行手数料は、銀行間で金利低減を競わせるため、財務相が独自に提案したものである。
 自然災害に備えた農業保険は完成済みであり、直ちに上程される。この農業保険は農業政策の構造改革であり、農業生産者の安定した収入を保障するもの。不可抗力の自然災害と不安定な市場価格の動向は、生産者泣かせであった。
 農業保険により生産者は、農業融資の未決済分に対し再融資を受けられる。これまでのように政治力のある生産者だけが、圧力をかけて再融資を受ける習慣を廃止する。さらに政府が農産物の先物市場をオプションに税制恩典を設けて補強し、農業生産の奨励策とする構想がある。
 建設業界では、建造物に保険をかける例が少ない。政府は不動産保険の奨励を行い、最近成長の著しい不動産市場の育成を図る考えだ。同長官によれば、ブラジルの不動産保険は、不動産購入者の事故死や事故で労働不可となり、債務の決済が不可能となった場合の保険しかないという。
 新しい保険は債務の決済を保障し、新たな建設計画をも立ち上げる。保険奨励により建設業をてこ入れする。建設業界は、多数の単純労働者を吸収し、大型予算を循環させる重要な部門だ。建設業界の活力が国家経済にリンクする。
 税制改革は掛け声ばかりで何も見えないと業界から批判されたが、一朝一夕にはできないと同長官が弁解。包括案は多岐にわたり、段階的に発表した後に実施するという。これまで保険の奨励は、再保険院(IRB)の独占を助けたと非難された。年末までには、修正した包括案の概要全文を公表の予定である。
 銀行協会からつるし上げられた財務相が、ミクロ政策の見直しは、ガラス張りの銀行経営要求であると苦しい説明をした。預金残高が、知らない間に蒸発してはならない。銀行に許された手数料と徴収禁止の手数料が、年末までに発表される。銀行業には、銀行間で競争するメカニズムが必要だ。議会承認を要しない通貨審議会(CMN)の銀行規制案も考慮中という。

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