ニッケイ新聞 2007年9月27日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】食料品価格の上昇が政府の今年のインフレ目標四・五%(広範囲消費者物価指数=IPCA)に迫る勢いを見せ、低所得者層を中心に消費者を脅かしている。
ブラジル地理統計院(IGBE)のデータによると、八月時点のIPCAは過去十二カ月累積で平均四・二%だったが、LCAコンサルタントは、食料品(飲料を含む)が九・三%と平均の二倍を超えたと分析している。今年一―八月ではIPCA二・八%に対し、食料品は六・七三%だった。
過去十二カ月の累積を食品別にみると、トマトが六一・五%と最も高騰し、牛乳・乳製品三三・七%、マンジオッカの粉三一・三%、鶏肉・卵二六・一%、コーヒー一八・一%、牛肉一二・八%、パン七・五%が続いた。
過去四年間IPCAは低下を続け、食料品価格は常に平均を下回ってきた。二〇〇三年は平均九・三%に対し食料品は七・五%、〇四年は七・六%対三・九%、〇五年は五・七%対二・〇%、〇六年は三・一%対一・二%だった。
食料品高騰の背景には、低所得層を中心とした、所得増加に伴う購買力上昇がある。昨年、最低賃金は実質で一三%調整された。インフレが低下していたところに大幅調整となったため需要が急拡大し、今年の反発につながったとみられる。今年は調整率が五%以下に下がっている。
インフレの進行により、今年上半期にスーパーの販売量は伸びにかげりが見え始めている。ブラジル・スーパー協会(Abras)によると、今年上半期の販売量は前年同期比三・二%増加を記録したが、昨年は五・三%の伸びを示していた。中・低所得層は価格に敏感で、値上げがあると買う量を減らす傾向が強いと同協会のホンダ会長は話している。一方、企業側は、量が減少しても売上増加につながるとして、インフレを有利とみている。
食料品価格の上昇は、消費者信頼指数(ICC)にも影響している。ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)によると、九月のICCは〇・三%で、八月の一%から〇・七ポイント低下した。現況指数は九月に四・四%低下したが、期待指数は逆に二%上昇した。これは農産物の収穫が近づき、消費者が買い控えをしていることを示唆している。牛乳や牛肉は来月以降、上昇の勢いが衰えると予想されている。