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ボベスパ、金融危機を克服=最高値を更新=米政策金利引き下げで=注目は鉱山、エネルギー

ニッケイ新聞 2007年9月26日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】サンパウロ市証券取引所(Bovespa)は二十四日、最高値を更新し、米不動産ローンに端を発した金融危機を克服した。株価指数は一・五九%上げ、五万八七一九ポイントにつけた。金融危機が始まった七月十九日から昨二十四日までの利幅は一・〇二%。今年に入ってから三二・〇三%、過去十二カ月で六八・七四%となった。これは米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き下げで、金融市場の活気に拍車がかかったものとみられる。米州圏ではサンパウロ市証券取引所だけが、金融危機から立ち直ったようだ。
 七、八月を辛抱した投資家は金融危機で失った分を、回収できたようだ。政策金利の引き下げがかくも大きな反応を見せるとは、FRBも予測しなかった。途上国は概ね好調で、それに引きかえニューヨークや先進国の金融市場は、振るわなかった。
 金融危機の始まった七月十九日から昨二十四日までに銘柄株は、一日平均一〇〇万レアルが取引された。特に取引量が多かったのは、鉄鋼や金属、鉱山である。ヴァレ・ド・リオ・ドーセは同期間、普通株で二三・二二%、優先株なら二一・一五%の利幅があった。
 昨二十四日の取引だけでヴァレは、普通株が四・九四%、優先株で五・〇一%上げた。これは中国を始めとする鉄鉱石の強い国際需要が影響したとみられる。鉱山会社は、鉄鉱石の価格調整を再々行い、営業益も上げた。二〇〇五年に七一・五%、〇六年に一九%、〇七年は九・五%とである。
 内外の投資家から最も注目されたのは、ヴァレとペトロブラスである。ペトロブラスの株は同期間、普通株で八・一一%、優先株で六・四七%の利幅があった。これは原油の高騰もあるが、国内生産の増加も人気に一役買った。投資家が見るのは、生産物への国際需要の動向である。
 同期間に値上がりした株の筆頭は、ペトロブラスが買収したスザノ製紙の八七・一四%。続いてゼネコンのジョアン・フォルテスの八五・六三%である。それ以外は二五%以下。取引量は一六〇万レアル。ヴァレやペトロブラスの五億レアルに比較したら、取引量は少ない。
 国際通貨基金(IMF)は、短期の大量資金がサンパウロ市証券取引所に流入したら、注意するよう投資家に警告した。しかし、サンパウロ市証券取引所は他の途上国とは違い、金融商品別の投資基準、管理体制などの監視システムが完備している。
 短期の資金が大量流入すると、二桁の配当額や魅力ある金融商品への誘導で不自然な変化が生じる。ブラジルの監視システムでは、為替市場や資本市場の緩やかな動向を表示している。そこへ妙な動きが現れたら、要注意である。
 ブラジルの金融市場には、途上国にない金融派生商品用の近代的監視システムもある。管理体制は先進国並の完備だ。ブラジルの金融市場は国内の投資家が増えたものの、まだ国内に留まっている。ニューヨーク証券市場へ上場しているブラジル企業は、一部大手に過ぎない。