プレ百周年特別企画
ニッケイ新聞 2007年9月
外山 脩(フリー・ジャーナリスト)
日伯交流年(日本移民百周年)開始まであと三カ月あまり。いよいよ歴史的な節目が迫ってきた。日系人がブラジル社会への貢献は多岐や分野にわたるが、とりわけ農業分野においては特筆すべきものである。
なくなったとはいえ、コチア産業組合はブラジル農業界に大きな足跡を刻んだことに間違いはなく、今も切り離された幾多の地方農協が活発に活動している。まるで熟した果実が樹木から自然に落ち、あちこちに新たな芽を出しているように見えないだろうか。
農業界の象徴的人物として、本日二十五日に五十周年忌を迎えた下元健吉を取り上げ、外山脩氏に連載「コチア産組=新社会建設=創立者の光と影」を依頼し、明日二十六日付けから第五面で掲載を開始する。
今連載では、下元を巡る様々な意見を丹念に集め、「アンチ派」「敬遠派」「敬愛派」の三つの角度から、その傑出した人物像を多角的に浮き彫りにし、県人性と組合のあり方などに深くメスを入れた。これを機に、さらに日系人のブラジル社会への貢献に光が当たることを期待したい。(編集部)
連載《第1回》=「昔は傑物がいたものだ」=コロニア50年の逸材
連載《第2回》=コチアという新社会建設=本来なら昭和史上の大事業
連載《第3回》=3種類の下元論=アンチ派、敬遠派、敬愛派
連載《第4回》=過去のアンチ派の言い分=「創業の最大の功労者は村上」
連載《第5回》=元職員老人は舌鋒鋭く批判=「神様扱いはおかしい」
連載《第6回》=「コチアは高知屋」=濃厚な血縁・郷土閥意識
連載《第7回》=役員を批判しまくるX老人=業務改革や人事の〃裏話〃
連載《第8回》=時節柄の政治資金捻出も=「俺が日本刀で叩き斬る」
連載《第9回》=同郷人への敵対と郷土閥=錯綜する県人意識の両面
連載《第10回》=複雑な高知人の県民性=南伯・中沢も肌合い異なる
連載《第11回》=多くの有力者とケンカ別れ=コチアの牙城に帰っていく
連載《第12回》戦前は日本に国防醵金=戦中は伯空軍へ飛行機
連載《第13回》=モジ進出を巡る〃伝説〃=地域拡大戦略の正否問う
連載《第14回》=「親父は外では駄目だった」=日本病院をコチアに移管?
連載《第15回》=パ紙経営にも一時は着手=総会「辞める!」と席立つ
連載《第16回》=コチア拡大の源泉は敬愛派=若者たちは「親父」と慕う
連載《第17回》=派手な恰好の職員を一喝=「組合員は土まみれだ」
連載《第18回》家庭では穏やかな一面も=食事も寝る時も猫と一緒
連載《第19回》=認識運動の地方会場で護衛=「生きて出られないかも」
連載《第20回》=一番下の運転手から聞く=誰より詳しい各地の情報
連載《第21回》畑で作る組合員との関係=本心ではバタタよりカフェ
連載《最終回》=下元死して志受け継がれる=一生を捧げた多くの職員