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CPMF延長案、下院通過=造反抑えに成功=役職と予算をバラ撒き=PMDBが犠牲払う

ニッケイ新聞 2007年9月21日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】下院本会議は十九日夜半、暫定金融取引税(CPMF、別名小切手税)の二〇一一年までの徴収延長案を賛成三三八、反対一一七、棄権二票で承認した。同案には国庫準備金の二〇%を、国会承認を経ずに政府の独自判断で交付できる補足案も盛り込まれた。大統領府は十九日、同案の国会審議に平行し、役職配分や予算交付による議会工作に奔走した。連立与党に属しながら野党合流をほのめかした議員三十人への宣撫活動を展開し、政府は説得に成功した。
 政府は小切手税の徴収期限延長で、国立銀行総裁や公団総裁の五役職と予算交付二一七万レアルをバラまいて、連立与党内の造反食い止めに成功したようだ。お家のためとはいえ、同衾中の拝領妻を返上させられた殿方も少なくない。
 下院は小切手税を承認したが、八四〇億レアルに上る国庫準備金二〇%の交付補足案の承認を得るため、CPMFは再度表決される。上院は二回にわたって同案を表決する。
 パーティに出席する連立与党は、出たご馳走の量で遠慮すべきかを判断せねばならない。不足気味であれば、ツバを飲んで爪楊枝を使うのが連立政権だ。政権維持とは生木を裂くようなもの。いつもバラ色ではないと大統領がいう。
 引出物は三階級ある。第一が総裁、続いて次官、それから予算交付。重要法案は、テーブルに出された牛の丸焼き。美味しい部分を、どの位頂戴できるかは各党の政治力による。第二次ルーラ政権は残るところ三十九カ月、拝領妻を抱けるのもそれまで。
 開票結果を見ると、労働者党(PT)とブラジル共産党(PCdoB)、キリスト教社会党(PSC)、家庭社会党(PHS)は結束した。最大与党のブラジル民主運動党(PMDB)は八人が造反。野党では民主党(DEM)から三人、ブラジル民主社会党(PSDB)では一人が政府案に合流した。欠席が最も多かったDEMの十八人は、結果として政府案へ貢献した。
 連立与党の進歩党(PP)や共和党(PR)、社会党(PSB)、ブラジル労働党(PTB)は、いつも一人寝させられ、欲求不満のため党会議は荒れた。閣僚は一人分宛てがわれているものの、かかし同然である。
 小切手税の承認で最も犠牲を強いられたのは、PMDBといえそうだ。リオ・グランデ・ド・スル州で軒並み倒産となった製靴業者への補助金暫定令がオシャカにされ、PMDB同州支部は面目丸つぶれ。パライバ州は、ベゼーラ元下議(PMDB)からノロエステ銀行総裁を取り上げた。
 ユダヤ暦の新年ロシュ・ハシャナに臨んだルーラ大統領は十九日、小切手税なくして誰もブラジルを統治できないと声明を発表した。下院は重要財源の小切手税を政府に贈呈し、その功績を称える。小切手税は四年以上も国民の福祉に貢献した。その廃止を求める輩は政権獲得後、必ず復活させるという。
 野党のPSDBとDEM、社会大衆党(PPS)は十九日、CPMFの延長が違憲であるとして最高裁へ提訴した。しかし、最高裁の司法判例では、政府の対応を容認する姿勢をとっている。