ニッケイ新聞 2007年9月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】政府は十七日、十二月三十一日に期限が切れる暫定金融取引税(CPMF、通称小切手税)の二〇一一年までの延長について、延長に伴う憲法改正に必要な票数を獲得し、十九日にも下院本会議で可決するために議会工作の強化を始めた。
政府リーダーのモンテイロ下議(ブラジル労働党=PTB)は、議席の過半数を占める連立与党の底力をみせ、野党への譲歩なく延長法案を通過させると意気込みの程を示した。一方、その間に閣僚らは延長への合意を取りつけるべく、与党のみならず野党の下議と上議にも働きかけを行っていた。
延長法案の承認は憲法改正を伴うため、上下両院とも六〇%、つまり下院(五一三議席)で三〇八人、上院(八十一議席)で四十九人の賛成票が必要となる。両院とも採決は二度実施される。与党は下院でほぼ四分の三の議席を占め、十月五日までに法案を通過させられると楽観しているが、上院は五十議席で、造反議員が二人出れば可決はおぼつかない。その上、すでに三人の与党議員が反対を表明している。
政府は上院で年内の延長を実現させるため、来年以降、〇・三八%の税率を〇・三六%にまで段階的に引き下げる案を検討している。引き下げより減税を主張するマンテガ財務相も、今回は受け入れられないが、来年以降に引き下げはありうるとの考えを示した。CPMF延長法案報告者のパロッシ下議も、現行税率で延長した後、憲法改正ではなく通常の法案修正(過半数で承認可能)を行って税率を下げる案を提案している。
CPMFは保健、貧困対策の財源として一九九三年に暫定的に設置されてから、税収は総額二五八〇億レアルに達している。国内総生産(GDP)に占める割合は一・四%、来年の税収は約四〇〇億レアルの見込み。
CPMF延長をめぐっては賛否両論が激しく対立、賛成者は社会政策推進と財政均衡の維持、今年の結果を見ると税負担が経済成長を阻害していない、脱税防止に有効、銀行口座を持たない貧困者には免税扱いと主張する。
反対者は政府の浪費にストップをかけるのが先決、新興国の中で経済成長が見劣りするのに税負担(全体)は最も大きい、税負担が価格転嫁されるため貧困者にも損害を与えるとし、脱税防止なら税率はもっと低くてよいと訴えている。