ニッケイ新聞 2007年9月18日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】サンパウロ市だけで一日に八七〇台の車やバイクが新しく参入! 工業生産増加や経済の活性化といえばうれしいが、この数字は、手放しで喜べない結果を引き起している。
二〇〇五年末の世界保健機構(WHO)の調査によれば、サンパウロ市は世界一九三都市の中で大気汚染度第六位。順位の高さ以上に注目されるのは、サンパウロ市の大気汚染源の九二%が車の排気ガスという事実だ。その汚染源が日々増加する様子は、排気ガスの排出量が年間五%ずつ増加し、ぜん息など呼吸器系疾患による救急外来の患者数が二〇%、入院患者数が一〇%増加したといった数字に表れている。
この状況は、日照が強く、乾燥して、汚染物質が拡散しにくい状態でさらに悪化する。ある小児科病院では、通常は患者数の減る九月も診察数は八〇〇〇件に上る(ここ十年の平均値は五〇〇〇件)とみられている。大人でも病院に駆け込み吸入を受けたり、薬の量を増やしたりというケースが報告されている。
また、交通局の取締官たちに、血圧の高止まりや心拍数上昇、動脈硬化、ストレス耐性の低下といった傾向がみられるなど、体内に吸収、蓄積される汚染物質による健康への影響が大いに懸念されている。
排気ガスによる二酸化炭素排出量は二〇〇六年には一五〇〇万トンと過去最高を記録。自転車の利用推進や、点検を義務付ける等、何らかの対策を講じないと、サンパウロ市は近い将来、死の谷と呼ばれるクバトン市のヴィラ・パリシ地区なみになるとは専門家の弁。車の洪水で渋滞、だけではすまない状況を呈している。