ニッケイ新聞 2007年9月13日付け
きょう十三日からリオで「第二十五回世界柔道選手権大会」が開催される。七日、日本選手代表団(吉村和郎団長)が現地入りした。来年の北京五輪につながる重要な国際大会。今一度注目の代表選手を紹介したい。
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同選手権大会は二年ごとに開催。無差別級を含め、男女八階級で世界一を競いあう。〇五年にエジプト・カイロ、〇三年に大阪で開催された。リオでは一九六五年に開催されている。カイロ大会では日本選手は金三つ、計十一人がメダルを獲る活躍だった。
男子代表の注目は、〇四年のアテネ五輪で金、今年の全日本選手権大会で優勝した鈴木桂治選手(百キロ)、シドニー五輪で金に輝きながらも次のアテネで惨敗、その後ケガを克服して今年二月のフランス国際大会で見事、復活した井上康生選手(百キロ超)などだ。
女子ではシドニー、オリンピック二連覇中の谷亮子選手(四十八キロ)が参戦。〇五年末に長男を出産し、二年間のブランクがあるが、同大会六連覇の実績をひっさげて頂点を狙う。
またアテネ五輪で全て一本勝ちして金に輝いた谷本歩実選手も注目。今回、ブラジル代表唯一の日系人選手のダニエラ百合・中沢さんとの対戦も期待される。百合さんは日本の公立学校の柔道部に所属していたこともあり、「谷本選手は高校のときの強化合宿で練習したことがある。とてもスピードがある」と、ニッケイ新聞に語っている。
オリンピック三連覇中の野村忠宏選手(六十キロ)は、今回は右ひざじん帯のケガを考慮して欠場。代わりに今年二月のフランス大会で準優勝の江種辰明選手が出場する。
また男子ではアテネで銀、カイロ大会覇者の泉浩選手(九十キロ)も期待。今年のフランス大会、全日本選抜体重別で優勝している秋元啓之(六十六キロ)、金丸雄介(七十三キロ)両選手も注目。このほかカイロ大会で銀、昨年のアジア大会覇者の棟田康幸選手(無差別)や三十歳のベテラン、塘内将彦選手(八十一キロ)の活躍も期待される。
女子は女子七十八キロ超級と無差別級に出場する塚田真希選手がアテネ五輪で金。国内では敵はおらず、今回は二階級制覇を狙う。今年の全日本体重別選抜で優勝している西田優香(五十二キロ)、中澤さえ両選手(七十八キロ)をはじめ、今年のアジア選手権覇者の佐藤愛子(五十七キロ)、岡明日香両選手(七十キロ)も注目だ。
斉藤仁日本男子監督は、昨年五月に代表選手の強化練習のために来聖した際、ブラジル柔道の印象について、「ブラジルの選手は日本と同じようにしっかり組んでくる。フットワークや足技、バランス感覚もいい」と説明した。
また、「(日本柔道は)金を取って当たり前の世界。日々金メダルを取るために努力し、苦しんでいる。だから試合が終わるまで、常に頭は金メダルしかない。そう思うことが我々の誇り」と話していた。
今大会会場は今年七月のパン・アメリカン大会と同じく、リオのマルチユーズ・アレーナ(Complexo Esportivo do Autodromo)。
開催日程は以下―。
【十三日】男女無差別、男子百キロ超、百キロ級。女子七十八キロ超、七十八キロ級。
【十四日】男子九十キロ、八十一キロ、女子七十キロ、六十三キロ級。
【十五日】男子七十三キロ、六十六キロ、女子五十七キロ、五十二キロ級。
【十六日】男女無差別、男子六十キロ、女子四十八キロ級。