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第4回海外日系文芸祭=作品選考終わる=(下)=尾山さんの短歌、主催者会長賞=小塩卓哉選考委員長「来年さらなる充実」

ニッケイ新聞 2007年9月7日付け

【短歌部門 一般の部】
◇海外日系新聞放送協会会長賞
乳母車からアンヨがふたつとび出して小春日和を蹴とばしてゆく   尾山峯雄
◇日本歌人クラブ賞
コーヒー園に鍬の手休め仰ぐ空いよいよ澄みて昼の星見す       柴尾勝
◇文芸祭賞
半世紀共に歩んだ鍋に釜 でこぼこの傷子育て移民史
       下小薗蓉子
◇入選
多人種の母なる大地ブラジルの一片となりてモザイク作る     浅海喜世子
ブラジルに住みておぼへし意外なる事の一つのカラスミ作り      西朋子
連れ合いの物憂き所作にかえりみる共に過ごせしながき月日を     木村衛
幾許か吾に残れる日を思い廊下の冬日に背をあたたむる      井本司都子
花びらは小さけれどもブラジルに桜は咲けりふる里遠し       川上美枝
瞳の碧き嫁の結ひ上ぐ金髪に挿したる黒き輪島塗箸
        広田ゆき
日本語が話せますかと吾に聞くパレスホテルの日本人客     たざきせいじ
ブラジルは甘蔗の量産急務なり世界にバイオの火の手が上る     猪俣靖子
花婿を胴上げにして八年の恋のみのりを祝ふ学友
        原田清子
ブラジリアの新都建設に参加せし思ひ出遠くひそやかに老ゆ     富樫雄輔
転げきしサッカーボールを蹴り返す六十路の祖母にしては上出来   長島裕子
ポンカンの種を見る度思う事もっと子供が欲しかった
        松井和枝
故郷の御社に咲く白梅の花の香おりは今も同じか
        星井文子
マンジオカの新焼酎の仕上がりを じっくり待つ夫の新しきロマン
    松村光江エレーナ
河幅を跨ぎて架かる二重虹 吾が郷愁を癒す如くに
       下小薗昭仁
いやおう否応もなくブラジルの土となりし父母偲びつつ迎ふ百年   大岩和男
たとふれば敢へてコインの裏側を選べど歩むメービウスの輪の上  中嶋ノエミ
街路樹の至るところにマンゴー熟れのびのび育つブラジルの児ら  井上富美子
【短歌部門 学生の部】
◇入選
満月よ人類の罪映りしや不吉さ朱さ染めてしまった
 ブラジリア・カトリック大学四年 ラファエル・サンターナ



第4回海外日系文芸祭=作品選考終わる(上)=大賞、西山ひろ子さんの俳句=「銀漢や同船者てふ家族あり」