2007年9月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】政府が先週、議会に上程した来年度予算案に約二万九〇〇〇人の公務員新規採用が盛り込まれている。これは先頃、ルーラ大統領が公務員を五万六〇〇〇人以上増員するとして物議をかもした計画案の一部で、来年度から実施するという政府の明確な姿勢を示したもの。これにより来年度の公務員給与支給額は一八億九七〇〇万レアルとなる。
ルーラ大統領の構想では、新規採用が見込まれる五万六三四八人のうち、四万三二人が各省内の高級管理職と言われるエリート職員で、公務員採用試験を受けずに各省が独自で採用を決定できる。このほか、司法省に一万二六〇四人、立法府に一四一七人、検察庁に二二九五人となっている。
これらの採用は長期的に行われるものの、国庫の負担は年間三四億九五〇〇万レアルに上ることから、来年度は二万八九七九人の採用にとどめ、一八億九七〇〇万レアルの予算が計上された。
ブラジルは世界でも有数の公務員天国とされており、さらに大盤振る舞いと見られるこの措置に関係者の間で批判が高まっているが、ルーラ大統領は治安や保健、教育、一般行政などの公共業務を円滑に進めるには公的機関の人的および組織改革が不可欠で、優秀な人材を登用すべきだとの考えを強調している。
しかし、公務員の人件費は、年金受給者も含め今年の一一八一億レアルから来年は一三〇八億レアルへと一〇・七五%の上昇となる。国内総生産(GDP)対比では四・六九%から四・七四%への上昇となり、経済成長率を上回る上昇となる。
いっぽうでルーラ大統領は来年度予算に絡む、社会福祉分野への予算計上の重要性を訴えた。ラジオ局のインタビューに答えたもので、社会福祉への支出は散財にあらず、国民の生活改善に向けての投資だと位置づけた。その上で社会福祉に来年度七二九億レアルを投入する予定で、これは今年度の六二五億レアルを一六・六%上回るとしている。
さらに最賃を例に挙げ、引き上げにより極貧層が二八%から一六%に、貧困層は五二%から三八%に減少したと強調した。