2007年9月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙八月十九日】米連邦準備制度理事会(FRB)が、公定歩合を六・二五%から五・七五%へ引き下げ、さらに返済期限の延期したことで問題を抱えていた金融機関を救い、市場は回復した。一部の米銀行は、FRBから九四〇億ドルの流通量を注入された。
米国を震源地とする金融危機は九月にどんな展開となるのか。ブラジルの投資家は海で甲羅干しをしながら、月末の様子を見るらしい。FRBの公定歩合引き下げと市場への資金注入は、暫定措置ではなく市場への参加といえそうだ。
不動産ローンは過去二カ月、何度も赤信号を点滅したのにFRBは何もしなかった。FRBは、不動産ローンよりインフレに気を取られた。物価の上昇がないのに物価を目の仇にした。不動産ローンの影響に気づくのが遅かった。
グリーンスパン前議長が早くから警告したのに、今回の金融危機は思ったより小型であったとバーナンキ議長はとぼけた。議長への就任が遅いとはいえ、もう少し謙虚であるべきだ。出動が遅かったが、辛うじて収拾したからまずは議長合格とする。
ブラジルは金融危機をどう見ているのか。政府要人の蛮勇は危険である。オレたちは強いんだ。IMF(国際通貨基金)にへつらう必要もないし、考えてもいない。ブラジル経済が改善されたことは認めるが、強震がきたのだから烈震に備えることだ。
耳ある者は聞くことだ。今回の危機は克服できたが、先進国の中央銀行が三〇〇〇億ドルを投じて収拾してくれたから可能だったことを忘れてはいけない。政府は震度の深さを考えたのか。
第二弾、三弾はいつ来るのか。ブラジルまで津波が押し寄せたら、政府は収拾できるのか。政府要人は、もう少し謙虚になって足を地に着けて欲しい。ブラジルはサーカスの観客ではないのだ。