2007年9月5日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙八月十五日】ブラジルの政府当局者は、世界的金融不安に迷わず対処する方法について、論理的根拠を求めるのが常である。しかし、論理的根拠には想像もしない逆説があることも知っておくべきだと、エスタード紙が論評を載せた。
経済専門家の間では、不動産ローンに端を発した金融不安は、先進国中央銀行の介入により短期間に決着がつくという見方と、短期間には治まらないとの意見が拮抗している。先進国が中国など一連の途上国の需要を減らし、経済成長率を押さえるとみている。
最大の問題は、通貨流通量が世界の金融市場で増え、ブラジルを潤したことである。この流通量は、ブラジル経済を活性化させたばかりではない。為替市場に莫大な外資をもたらした。現在、金融不安が輸出業者に有利なレアル安を引き起こしている。
この傾向はしばらく続くものと思われる。外国からの直接投資は増え、資本市場への外資流入も伸びた。しかし、通貨流通量の縮小は資本市場を冷やし、ブラジルの企業家に資金調達を難しくするので歓迎されない。
これまで豊富であった通貨流通量は、国際金融市場への参入を容易にし、レアル建て長期債券の発行を程々の金利で可能にした。しかし、その資金源も七月二十六日を以って終わった。途上国はその後、例外を除いて債券を発行していない。
一部の企業は社債の発行を試みた。しかし、上昇気味の公定金利の動向を伺って金融不安の沈静化を待っている。今までは民間企業だけが設備投資を行った。全般的には、金融不安の煽りで拡張計画を見合わせている。