2007年8月30日付け
【静岡新聞】静岡県は県内在住外国人との共生を推進するため、九月にもブラジル人学校への日本語指導者派遣事業を始める。外国人児童・生徒の日本語の能力向上と学習環境の充実を図り地域生活のほか、日本の小中学校への編入や高校進学、就職が円滑に進むよう後押しする。
県内のブラジル政府認可校三校をモデル校に指定し、県国際交流協会の日本語指導ボランティアを週三回程度派遣し、平仮名や平易な漢字など初歩的な日本語を教える。派遣校は、エスコーラ・フジ(富士市)、ソヒゾ・デ・クリアンサ2(菊川市)、エスコーラ・オブジェティーボ・デ・イワタ・チア・ホーザ(磐田市)の県東・中・西部の各一校。
県によると、県内のブラジル人学校は十八校あり、約二千四百人が通う。このうち十二校の同国政府認可校では、教育省の教育課程で週一回の日本語の授業が設けられているが、学習機会は不十分なのが現状という。このため、県国際交流協会が平成十三年度から養成した約五百四十人の日本語指導ボランティアを活用し、課外活動の時間も利用して日本語学習の機会を増やしたい考え。
県は、有識者らでつくる「多文化共生推進会議」が今年三月に提出した「県内在住外国人と日本人の共生社会の実現に向けた提言書」を受け、本年度に労働・教育・地域共生の三分野で具体的な対応策に取り組む方針を示していた。
モデル事業は三年間の実施予定だが、県多文化共生室は「まず県が実施することで、外国人学校のある市町や地元ボランティアによる日本語指導態勢づくりが普及することを期待したい」と話している。