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ゼネコンの営業拠点地方へ=不動産需要高まる=人口、所得、消費が増加=「眠れる市民」目覚める?

2007年8月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】キュッシュマン&ウエイクフィールド・コンサルタントは二十六日、ブラジル産業の地方移転に伴い、ゼネコンが営業拠点を地方大都市へ移したことを明らかにした。これまでサンパウロ市とリオデジャネイロ市に集中したクレジットや生産の動きは、不動産の需要と消費市場の活性化が地方に見えたため、産業発展の脈動が顕著な内陸部へ移動を始めたとコンサルタントが発表した。これはエタノール・ブームに端を発したブラジルの富の移動といえる。南東部に偏重していたゼネコンや工場が、一斉に生産拠点を中央西部や北部、サンパウロ州地方部へ移している。
 地方都市での不動産建設の躍動は、時代の槌音を聞くようだ。物件にゆとりのある地方都市に、次々と高級コンドミニアムが出現している。地方が所得を生み消費水準を引き上げていることで、富の移動は紛れない事実のようだ。
 ゼネコン・テクニーザの場合、株上場で七億九一〇〇万レアルを増資し、生産拠点をサンパウロ市からサンジョゼ・ドス・カンポスやスザノ、イトゥ、ソロカバ、モジ・ミリンの各市へ移した。同社は二〇〇八年、年商の四五%を地方へ移し、サンパウロ市は三五%に留める。
 地方都市の人口と所得の増加は、往年のサンパウロ市を思い出させる。この時代の脈動で起爆力となったのは、エタノール黄金時代の到来といえそうだ。ブラジルの資産は三分の一がサンパウロ市など大都市、三分の二が地方都市にあるらしい。
 ゼネコン・ロッシの場合、サンパウロ市二〇%に対し地方三〇%の割合である。地方で最近発展が著しい市は、カンピーナスとソロカバ、リベイロン・プレット、スマレー、サンカルロス、ヴァリニョスである。
 ブラジルの歴史はサンパウロ市など大都市の一極時代が長かったため、地方の市民はまだ眠りから覚めていない。ゼネコンは、株公開や地方ゼネコンとの合弁で資金調達をした。アマゾナス州のマナウス経済特区も、その一つである。同市は二〇〇六年、一五〇社のゼネコンが進出し、一挙に三倍へ膨れあがった。経済特区が契約更新されたため、サンパウロ市の大手ゼネコンが次々と進出したからである。
 ゼネコンは、失業対策の最短距離といわれる。無学で技術もない未熟練労働者を吸収する福祉事業である。これら労働者をサンパウロ市など大都市で吸収してくれたのは、一五・六%に過ぎなかった。今度はゼネコンが地方へ進出してくれたので、その数は三〇・三%で二倍に上っている。
 これはまさに、地方都市の活性化だ。不動産ローンには事欠かない。基本金利は低下傾向にある。地方住民の所得も向上。米不動産ローンの焦げ付きは、ブラジルにプラスをもたらした。米不動産ローンに嫌気がさした投資金が、以前の一二・五倍もブラジルを目指した。風吹いて、ブラジルの桶屋が儲かる。
 住宅ローンは年々ハードルが低くなる。会社をクビになる心配がなくて生活が安定していれば、鴨がネギを背負ってやってくる。だが、サンパウロ市が寂れるのではない。地方都市の成長がサンパウロ市より速いのだ。