2007年8月28日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】エスタード紙が二十六日に掲載したルーラ大統領独占インタビューの記事が政財界で大きな反響を呼んでいる。なかでもルーラ大統領が次期選挙の二〇一〇年に三選出馬の意向は無いと宣言したことに対し、野党側は信用できぬとして反発している。
ルーラ大統領の政敵と自他ともに認める野党ブラジル民主社会党(PSDB)の重鎮であるカルドーゾ前大統領は、三年間の任期期間を残しながら、今、三選を話題にするのは、出馬意向があるからに他ならないと決めつけている。さらに、インタビュー記事で「国民が頼んでも出場はしない」と発言したことに対し、国民の支持を仰ぐルーラ流のやり方だと非難している。
三選は憲法で禁止されているが、世論を盛り上げて憲法改正に持ち込む意図が明白だと指摘している。その上で、ルーラ大統領の後任となり得る人材が見当たらない労働者党(PT)の画策であり、三選はPTの宿望になっていると決めつけている。
アウキミン前サンパウロ州知事(PSDB)も政権交代は民主政治の象徴であるとし、三選は避けるべきだと指摘している。政治研究の専門家筋の間でもこの意見は大半を占めており、ルーラ大統領は政権交代の重要性を認識すべきだとしている。エロイザ・エレーナ前上議もルーラ大統領の発言は口からの出まかせで「信用できぬ」と反論している。
さらにカルドーゾ前大統領は、ルーラ大統領がインタビューで、経済が安定したこと、貧困手当が浸透し、貧困層が減ったことを自慢したのに対し、前政権の政策を継承して軌道に乗ったものであり、自分が一から手掛けたと思い込んでいると批判した。その上で、成果の上がったものは全て自分がやったと自画自賛し、結果が芳しくないものは「知らぬ存ぜぬ」の姿勢を押し通していると指摘している。
PTの不正資金スキャンダルで検察が四十人を起訴した事実についても「知らぬ存ぜぬ」の態度を貫いているが、一国の大統領が膝元の大スキャンダルに何ら対策を講じないのは無責任極まりないとコキ下ろした。