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大統領=金融不安は対岸の火事=投機筋の対応を非難=業種別為替相場も否定

2007年8月23日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】アメリカの住宅ローン問題をきっかけに、世界的な株安が続き国際金融不安に陥っていることを受けて、ルーラ大統領は二十一日、金融不安はアメリカの金融政策の失敗によるもので、あくまでも対岸の火事であり、ブラジル経済はそれをはね返す体力があると強調した。その上で株安がブラジルに波及したのは投機筋の思惑違いが原因で、「ひたいに汗せずに短期間に儲けようとすると必ずしっぺ返しを喰らう」との見解を示した。
 ルーラ大統領はサンパウロ州リンス市でのベルチングループのバイオ燃料精油工場の竣工式に参列して演説したもので、以前から表明しているアメリカの失政を改めて指摘した上で、投機筋や企業の対応を非難した。その上で投機はカジノ賭博と同じもので、楽をして一獲千金を夢見るものだとして、アメリカのおかげでブラジル国民や企業が苦しむのは人道的にも社会的にも許せないとの立場を強調した。
 また為替相場は世界的に不安定なのに対し、大統領は名指しはしなかったものの、ブラデスコ銀行の頭取やネッスル社長が提案した業種部門別の為替相場設定については「ありえない」と否定した。その上で為替相場は一定のルールに基づいた統一的なものであると断言した。また、ブラジルの経済は国内需要の上に成り立っており、国際不安に脅かされるものではないと強調した。
 ベチングループのバイオ燃料は牛脂を原料として年間一億一〇〇〇万リットルを生産する。大統領はこの新技術を賞賛しながらもエタノール燃料の普及促進を改めて強調した。アメリカがトウモロコシを原料としてバイオ燃料を生産することに対し、トウモロコシは鶏の飼料であることを痛感するだろうと皮肉った。
 さらに、ブラジルがサトウキビを増産し、食糧事情に影響を与えると世界が懸念していることに対し、大統領はブラジルには原始林が六九%もあり、わずか〇・三%の先進国と同じにしてもらっては困ると力説した。