2007年8月22日付け
【ヴェージャ誌二〇二〇号】社交界のスターであったヴィウマ・マガリャンエス(45)は現在、刑務所に服役中である。貧しい家庭に生まれた彼女は九〇年代、為替店と先付け小切手売買の会社を開業。ブラジリアの社交界では、常に注目の的となった。有名デザイナーのドレスを身に付け、舶来の高級車を乗り回した。自宅には大物政治家がひんぱんに晩さん会へ招かれ、金粉をまぶしたシャンペーンが振舞われた。彼女の栄華も五月、六年の禁固刑で幕を閉じた。政治家らが汚職で得た不正資金を洗浄する犯罪組織を構築したからだ。
次は、彼女が語る優雅な刑務所生活である。
【刑務所も住めば都】入所前に衣服一式を新調したが、所内でも注文すれば配達してくれるので不自由はない。下着は常に新品を着用し、一度使ったものは仲間に配布する。所内では女王様扱いで、職員は私のお裾分けを待っている。
【人生とはパーティ】生活信条は刑務所の内外でも変わらない。拘置生活といえども日曜日は私の大好物でメニューをつくる。イタリア製の冷凍ラザーニャとボルドー産のワインを取り寄せる。刑務所職員はわが社の従業員と同じで、手足のように動く。
【刑務所内の日課】夜間だけ所内で就寝、日中はわが社へ出勤し社長業を営む。我が家のトイレ位の部屋に三人収容されているので、窮屈ではある。外部で使用している日常品は、刑務所規定で持ち込めないのが不便である。
【刑務所の違和感】日常生活は、楽しくなるように工夫すれば違和感はない。出勤のため会社から帰還したら、毎日丸裸にされて恥部まで身体検査をされるのが煩わしい。
【金持ちと弁護士】金持ちは、優秀な弁護士を雇えば刑務所に入る心配はないというが間違いだ。優秀な弁護士に全資産をまき上げられるよりは、刑務所に入ったほうがよい。カネがあれば、どこにいようと王侯貴族である。
【人生とカネ】カネは夢を実現したか、しなかったかの結果である。カネは仕事の評価である。自分では素晴らしいことをしたつもりでも、カネにならないのでは意味がない。儲からないのは、自分の仕事に存在価値がないからだ。
カネは、使い方の上手な人に集まる。特に小銭の使い方で、人は豊かになるか貧しくなるか決まる。大金を小銭に崩したら、カネは蒸発する。小銭は使い易いし、浪費気分がないから恐ろしいのだ。
小さい買い物はしない。カネを貯めて豪華な買い物をする。小さい買い物は水道の水漏れと同じで、どれほど損したか分からない。お腹が空いたとか喉が渇いたとかで、ポケットから小銭を取り出して使わない。これが富者と貧者の分かれ道となる。
【現状から抜け出すには】旅行や社会的レベルに見合ったパーティを行う。価値観が似ている人と交際をする。これは情報の宝庫であり、経費ではなく投資である。自分がどのクラスに属するかは分からない。上には上がいて、下には下がいるからだ。
友人への贈り物は特に気を配る。贈り物は一種の自己宣伝である。将来性のある友人への贈り物は先行投資である。友人はその贈り物を周囲に見せる。贈り物には、送り主の人柄とメッセージが込められているのだ。