2007年8月21日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】RCコンサルタント社は十九日、金融不安に始まったグローバル市場の混迷が農産物や金属コモディティ(必需品)市場にも及び、ブラジル経済への影響が懸念され始めたと発表した。同市場は二〇〇三年以来上げ幅が五〇%に達したが、これから毎年七%幅で落ち込むと米調査会社が警告した。〇八年のコモディティ相場は〇四年の水準へ戻ると予測。金融不安の始まった七月二十六日からロンドンの金属取引所は、ニッケルや錫、鉛,銅、アルミニウムなどを一斉に下げ、農産物も五・二%安となった。
コモディティ市場の下落で同市場に大きく依存するブラジル経済は、貿易収支への影響が懸念され始めた。同市場の相場は現在、まだ妥当な線を維持しているが、今後国際需要の低下により、特に金属が低迷するとみられる。
同市場の影響は、やがてブラジル経済とグローバル経済へも浸透すると関係者はみている。景気予測はできないが、コモディティ市場の低迷はこれまで順調な相場で恩恵を受けた途上国がもろに被る。ブラジルの貿易収支は〇七年の四五〇億ドルから〇八年は三七〇億ドルへ落ち込むと、関係者らが言う。
農産物は八月に大豆を除いて全般に下げた。〇七年末までには、農産物の下落が判然とする。自動車などの工業製品に較べ、コモディティは国際的経済不安の影響をより受け易い。コモディティがよいのは、ブームに乗った時や相場の上昇傾向に煽られた時だけ。
コモディティ価格は、工業製品よりも景気変動の影響を受け、決まった最低保障価格がないために相場は不安定である。農産物輸出は〇七年一月から七月まで、ブラジル総輸出の三六・七%になった。昨年同期は三五・六%であった。
近年ブラジルの輸出が好調であったのは、単価の上昇であって、数量の増加ではない。〇七年はそれが、総額一五%増に対し単価一〇%減の見込みで、これまでとは逆になる可能性がある。〇八年は価格次第といえそうだ。
金融不安の影響は、特に農産物へのインパクトが懸念される。来年度穀類の作付けは、中央南部が九月から始まる。昨年度の在庫を抱えている生産者に、金融不安によるコモディティの下落とドルの上昇である。六個と半ダースを交換するようなもの。
金融危機がもたらす資本市場への影響として、途上国の外資流失加速が指摘できそうだ。投資家が懸念するのは三点、途上国へ投資できる資金量と投資した資金回収の安全性、途上国の基本構造の見直しである。
投資家が途上国市場で失った資金は、まだ致命的損失ではない。しかし、金融危機が長引くなら、消費市場へ投下した資金は一斉に引き揚げる。途上国市場が、グローバル市場の影響を受けずにいられるかは保障できない。
途上国のクレジット市場は、金融危機の影響をほとんど受けていない。しかし、消費市場の背後にある基本構造はリスクを見直す必要がある。ブラジルからいつでも逃げ出せるように風呂敷をからげておくに越したことはない。