2007年8月18日付け
柔道を通した人の生き方を広くブラジルでも知ってもらおうと、全伯講道館柔道有段者会(岡野脩平会長)が出版準備をすすめる明治時代の柔道家の人生を描いた『姿三四郎』(富田常雄著)のポ語訳版が、今年十月ごろに発売される。
岡野会長によれば、価格は六十五レアル。初版として三千部を用意する。六百ページで、原作の第一巻と第二巻の大部分が翻訳されている。最初は日系書店のみの販売になる予定で、購入希望者は即時に本を送付するという(送料別)。
同書は、すでにブラジル在住の日本人デザイナーが描いた迫力ある仁王像が表紙に決まり、校正も最終段階。来月リオで開かれる世界柔道選手権大会でもポ語・英語のパンフレットなどを用意し、世界各国に出版発表がなされる予定だ。
『姿三四郎』はもともと新聞小説で連載された作品。柔術と柔道の対決のほか、恋愛などロマンス的要素も織り込まれており、最後まで楽しみながら読むことができる。
翻訳を担当した林慎太郎さんは「(姿三四郎は)日本の読者向けに書かれたもの。日本の明治時代の習慣については、ブラジル人にもわかるようにした」という。翻訳・出版費用は二十万レアル。その内、翻訳費用の約四千ドルと印刷料の二五%を国際協力基金が助成している。
岡野さんは「これは柔道の創設者、嘉納師範と弟子たちが柔道の修業を通した人間としての生き方を教えた書。多くの若い人たちに身体、精神を鍛錬、修養し、己を完成して世の補益とする柔道の精神を知ってもらいたい」と話している。
販売に関する問い合わせは、CIC contabil-Akobrace.Marina Eico Oyama(電話11・2276・4507)または(11・5581・2595)まで。